両片想い
第67話 夏が始まる
……暑くなってきたなぁ。
照りつける太陽に嫌気を感じつつ、学校へと歩いていく。
あの水族館に行った日から、早くも二週間が過ぎた。
その間は特にイベントもなく、勉強漬けの毎日を過ごしていた。
なぜなら、絶賛——期末テスト期間だからだ。
はぁ……綾崎さんのせいにしちゃいけないけど、色々と気になる。
今回は……綾崎さんの方から、一人で勉強した方がいいかもって言ってきた。
別に他意はないと思いたいけど……何かしたかな?
最近は、少し避けられてるような気がしないでもないし。
そればっかりが気になって、中々集中できなかった。
……って! 人のせいにしてる場合か! 全部、自己責任だろ!
……テスト終わったら、思い切って話しかけてみるか。
俺がそんな自己嫌悪に陥りつつ、歩いていると……。
思い切り、背中を叩かれる。
そんなことをするのは、一人しかいない。
「いたいって」
「よう、和馬!」
「浩二、おはよう」
「どうだ、テストは?」
「うーん、正直言って微妙かな」
「そうなのか? 結構、教室でも勉強してなかったか?」
「してたんだけどね。まあ、元々があれだから」
「まあ、器用ではないわな。どうせ、あれだろ——綾崎のことだろ?」
「……うん、まあ……」
浩二には一通りのことは話してある。
俺が好きと自覚していること、綾崎さんと勉強会をしてること。
デートや水族館とかも行ったことを。
「おいおい、それくらい一緒にいればわかるだろうよ」
「いや、全然わかんないし」
実は言うと……少し関係が良くなってきたかなって思ってた。
よく笑うようになったし、距離感が近くなった気がした。
だから、そろそろ告白してもいいかなって思ったんだけど……。
ここにきて、距離感が出てしまったような気がする。
「まあ、女の子なんてわかんない生き物だよ」
「はぁ、モテる男が言うと違うなぁ」
「まあ、相談があれば言えよな?」
「うん、そうするよ」
「なんか、こうやって話すのも久々だな」
「そういや、そうだね」
「よし! 今日でテストも終わりだし、飯でも食いにいくか!」
「……そうだね。それもありかも」
一人で考えても、らちがあかないし。
経験豊富な浩二に話を聞いてもらえれば、何かわかるかもしれない。
「んじゃ、決まりだな」
「うん、よろしくね」
「おっと……邪魔者は去るとするか」
「えっ? 浩二?」
「んじゃ、またなー!」
「どうしたんだろ? 急に……」
「ん、おはよう」
「……綾崎さん、おはよう」
振り返ると、少しおどおどしている綾崎さんがいた。
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