第42話 遊園地
埼玉県……いや、所沢市の人間にとって憩いの地。
全所沢市民にとって最後の砦、そして全所沢市民が誰もが一度は行ったことある場所。
それが西○遊園地である。
「わぁ〜! 始めてきたお!」
「うん、そうだね」
「ん、私も初めて」
「……なんと」
ここにいた、所沢市民で来たことない人が……。
いや、そういう人もいるよね。
さて……入る前に確認だ。
「優香、約束は覚えてるか?」
「うんと……乗れなくても泣かない……お兄ちゃんとお姉ちゃんのいうこと聞く……」
「そうだ、それさえ守ればいいよ」
何せ四歳児なので制限がある。
乗れない物もあるし、危険もある。
本当なら、もっと大きくなってからにしようかと思ってたけど……。
どうやら、友達みんながデビューしてるらしい。
俺はぼっちでもいいけど、可愛い妹をぼっちにするわけにはいかない!
「ん、私も泣かない」
「……何がですかね?」
「乗れなくても……優香ちゃんと一緒に我慢する。優香ちゃん、頑張ろう」
「あいっ!」
その表情は真剣で、嘘を言ってるようには見えない……。
どうやら、こっちにも気を配らないといけないみたいです。
チケット売り場の前に行き……少々揉める。
「ん、私は自分の分払う」
「いやいや、ダメだって。今回は俺が誘ったんだし……付き合ってもらうわけだし」
「そういうのは良くない」
「ほ、ほら! お弁当代だって払ってないし!」
「あれは君の観察するための取引」
「でも、俺だってこの間観察したよね?」
「むっ……」
「ねえ! はやくはやく!」
「「……後にしよう」」
ひとまず言い合いになる前に、遊園地の中に入っていく。
「わぁ〜!! すごいお!」
「ん……すごい」
「確かに……俺も新鮮かも」
俺も小さい頃に来たけど、その時は潰れる寸前だったらしい。
そっから頑張ってリニューアルをして、古いレトロな雰囲気にして……。
ここ最近では、人気が出てきたみたい。
「お兄ちゃん! あれ乗りたい!」
「いいよ、行こうか」
まずは優香がテレビで夢中になっていたバイキングに乗る。
いわゆる大きな船に乗って、それが左右に揺れるアトラクションだ。
もちろん、優香を挟んで三人で並ぶ。
これだけでも、俺としては綾崎さんについてきてもらって良かった。
「うきゃァァァァ!」
「ん……!」
「お……おおっ!?」
い、意外と高い! あれ!? こんなだったっけ!?
……情けない。
次々と乗り物を乗ったが……俺だけがグロッキーだ。
「きゃはは! たのちい!」
「ん、面白い」
「そ、そうだね」
ま、まずい……俺が一番適応できてない。
「お姉ちゃん! あれも!」
「ん、任せて」
……でもいいや。
二人とも楽しそうだし。
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