第41話 待ち合わせ
……ふぁ……目覚ましが鳴ってる……。
昨日は遅くまで勉強してたし……でも、起きないと……よし。
「ぐはっ!?」
「お兄ちゃん! 朝だお!」
「い、妹よ……大きくなったね」
「んー?」
起きようとしたら腹の上に乗っかられた。
流石に、四歳児のボディプレスは中々きつい……。
昨日食べたものが出るかと思った。
そろそろ、やめさせるべきなのか……もう少し好きにさせとくかな。
「ありがとな、起こしてくれて。ただ、もう少し加減しような?」
「あいっ!」
「……わかってないやつだこれ……」
その後、手早く朝の準備を済ませる。
そして優香がお着替えをする隙を見て……母さんに話しかける。
「母さん、今日はゆっくりしてて良いよ」
「どういうことかしら?」
「俺、優香を連れてお昼ご飯も食べてくるし。というか、綾崎さんが作ってくれるって。それで、夕方まで帰ってこないし。その……たまには母さんも休んでよ」
母さんは正社員で働き、家事もやって土日も忙しくしている。
俺がやろうとすると、学生の本分は勉強と遊ぶことと言われてしまう。
だけどゴールデンウィークの一日くらいはゆっくりしても良いはず。
この日のために、元々小遣いを貯めておいた。
「……良い子に育って。ありがとう、そうさせてもらうわね」
「ちょっ!? 流石に頭を撫でられるのは……」
「良いじゃない、たまには」
「……はぁ、わかったよ」
「うんうん、良い子。これも母さんの育て方が良かったからだわ」
「色々と台無しだよ!?」
「ふふ……あら、終わったみたいね」
ドタドタと足音が聞こえてくる。
「ママ〜! 着替えたお!」
「あら〜! 一人で出来て偉わいねぇ!」
「えへへ……」
「おおっ! 偉いぞ!」
「えらぃ? これでお出かけできる?」
「ああ、大丈夫だよ。じゃあ、母さん行ってくるね」
「ええ、気をつけてね。きちんと、女の子にお礼を言っておいてね」
「うん、わかった」
「行ってきまーす!」
優香を連れて、家を出て……切符を買い、駅の中へと入る。
すると、カッコいい女性が待っていた。
「あ、綾崎さん?」
「ん、和馬君おはよう。優香ちゃんも」
「おはよーございます!」
「お、おはよう」
今日の綾崎さんは、ジーパンにスニーカー、白Tシャツに赤パーカーというシンプルな格好だ。
しかし、元の素材が良いからか、カッコいい女性って感じだ。
着ているものは俺と対して変わらないのに、この差は一体?
「ん、今日も元気。じゃあ、遊園地に行こう」
「遊園地〜!」
そう、今回のお出かけは遊園地だ。
これなら一日中遊べるし、優香も喜ぶし。
母さんも家でのんびりできるだろうし。
……まあ、俺が単純に綾崎さんと行きたかったのかも。
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