第53話 夏休み明けの登校
楽しかった夏休みはあっという間に過ぎ去っていき今日からまた学校が始まる。今日は始業式だけになるけど、夏休みを満喫した反動からか休みがもっと欲しいと感じる学生は多いのではないだろうか。
「はあ〜……今日から学校かー……夏休み延長されねーかなー。」
俺は夏休みの反動から学校に行きたくないから休もうとしたが美玖に引っ張られる形で渋々制服に着替えて学校へと歩みを進めている。
「もう〜〜!!いつまでもダラけてないでシャキッとしてよ〜。今日は始業式しかないから早く帰れるじゃんか……。」
「そうだけどさー……やっぱり夏休みは楽しかったから、学校で明日から授業も始まると思うと憂鬱だ……。」
「うわー、さらに落ち込んじゃったよ……私は猛と一緒に学校行くの大好きなんだけどなー。猛は嫌い?」
さっきまで俺の腕を美玖の育ちの良いお胸に抱かれて引っ張っていたのに急に離して俺の正面に回り込み上目遣いで覗き込みながら言ってきた。
その瞬間俺のダラけが無くなりやる気が溢れてきた。
「よっしゃ!!今日も美玖との学校生活を楽しむぞー!!」
「急に元気になった!?……あっ、ちょっ、ちょっと待って!!急に走らないでよー!!まだ充分時間に余裕あるからーー!!速い〜〜〜!!」
俺の急な変わりようにビックリしてる美玖の手を取りおもむろに走り出した。やる気MAXになった俺は美玖と一緒に走って登校するのだった。
さっきまでのダルさはどこに消えたのかわからないが、大好きな彼女であり大切な幼馴染の美玖は俺のやる気スイッチを押してくれたのだった。
「はー……はー……いつもより……早く学校に着いたな……。」
「あ……当たり前だよ……猛……走るの速すぎ……。」
俺と美玖はいつもより早く着いた校門前で息を整えていた。
息を整えた俺達は下駄箱に向かい靴を履き替えてから自分達の教室に入った。
「もう!何も走ることないでしょ!!」
「ごめんごめん!!美玖にやる気を引き出してもらったら身体を動かしたくなってさ。」
「まさか夏休み明けに走って登校することになるなんて思わなかったよ……。」
俺達は教室に入りながら急に走ることになってしまって怒っている美玖に謝っていた。
いつもより早く着いたため登校しているクラスメイトもまだ少なかった。
「よっ!猛に有村さん!随分早いなー。お前のことだから学校行きたくないって駄々こねてるかと思ったぜ。」
俺が美玖に謝って機嫌を直してもらっている時に俺の肩を叩きながら話しかけてきたのは輝弘だ。
「おっす。はっはっはっ!俺を舐めるなよ?たとえやる気が無くても愛する美玖に甘い言葉を囁かれればやる気が出る男だぜ?」
「甘く囁いた覚えはないよ!?私は猛と一緒に登校する時間が好きだって言っただけだよね!?……それでやる気MAXになっちゃって一緒に走らされたんだよ。やる気MAXの猛もカッコいいから大好きだけど、一緒に走るのは大変だったよ。」
「……猛はドヤ顔してるとこ悪いけど、有村さんがいなかったらダメダメなだけじゃねーか……。有村さんもお疲れ……有村さんもブレねーなぁ……。」
確かに美玖がいなかったら確実にサボっていただろう。大好きな彼女がいると頑張る事が出来るのは最高だな!!
美玖は汗拭きシートで腕を拭きながら言った。
美玖の汗拭きシーンをずっと眺めていたくなる……っと、そうだ。肝心な事を忘れる所だった。
「輝弘は金澤と一緒に登校しなかったのか?」
「ああ、俺は朝練があったりするから合わせてもらうのも悪いしな。」
照れ臭そうに頬を掻きながら言う爽やか野球男子の輝弘が恋にも頑張っている様子が感じられた朝だった。
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