第49話 夏祭り そのに
「おお〜、やっぱり祭りは賑やかだなー。……人が多すぎるような気もするけどな。」
俺は夏祭りが行われている神社の中に入って人の多さに少しだけ気が滅入ってしまった。
「それはそうだろう。本祭りの今日は日曜日で学生は夏休み最後の大きなイベントだからな。」
「夏祭りは学生にとってデカいイベントだからな!屋台も多いし花火も沢山上がるから学生以外の人達も家族を連れて来るから、ここの祭りは毎年混むからな!はぐれないようにしないとな。」
俺が人の多さに気が滅入っていると淳史と輝弘がこの祭りが混む理由を教えてくれた。
今日は日曜日だから社会人の人達も休日の人が多いだろうし、混むのは仕方ないよなぁ……。
マジではぐれないようにしないとだな。俺は美玖と手を繋いでいるから他の4人とはぐれないように注意していれば大丈夫だろ。
「それじゃあまずは屋台を見て回って、食い物を買って腹ごしらえしてから遊ぶ感じでいいか?」
「賛成!屋台で買って食べるのって美味しく感じるよね!」
俺の言葉に美玖が賛成してくれた。他のみんなも賛成してくれたから俺たちはまず食べ物を売っている屋台を見て回った。
買ってから俺達は神社内で座れる場所を見つけて座って食べていた。買ったものはたこ焼きと焼きそばにリンゴ飴を買った。
「ふーふー、猛、あーん❤️」
美玖が熱々のたこ焼きを息で冷ましてから俺の前に持ってきてくれたから俺はたこ焼きを頬張った。
「あーん、もぐもぐ、美味い。美玖俺にもたこ焼きとつまようじかしてくれ。ふーふー、美玖あーん。」
「あーん。パクッ、もぐもぐ……うん!美味しいね!」
美玖からたこ焼きの入ったパックを受け取ってたこ焼きにつまようじを刺して美玖がしてくれたように息で冷ましてからたこ焼きを美玖に近づけると美玖が可愛く口を開けて食べた。
「……うわー、美玖と高崎のラブシーンを見せつけるから、甘すぎて胸焼けしそうなんですけど……。」
「……杏奈に激しく同意。2人のイチャイチャは学校でも見てるけど、学校よりもイチャイチャ度が高い気がする。あーんは学校でもやってるけど、何が違うんだろ?」
「あれじゃね?学校では一応抑えてるけど、今は学校じゃなくてプライベートだから甘える仕草とかが濃密なんじゃね?」
「……ふう、この2人のイチャイチャは見てるこっちが恥ずかしくなるな。」
4人が呆れながら俺達を見ていた。やっぱり学校だと我慢しないといけなかったりするけど、プライベートの時間は美玖とのイチャイチャはお互いに甘くなっちゃうんだよ。
「はあー、食った食った。腹ごしらえを済ませたし遊びに行くか!」
「おう!まだ花火まで時間があるから遊ぶぞー!!」
俺達はゴミ箱にゴミを捨ててから屋台の方に歩いて行った。屋台には射的や水風船釣りに人魚すくいなど色々な遊びを楽しめる屋台が並んでいる。
「うーん、まずは何からやるかー。運試しにくじでも引くか?運が良ければゲーム機が当たるみたいだし。」
「くじはやめておけ。当たるまでムキになる輝弘が目に浮かぶ。」
「あー、それスゲーわかる。」
「なっ!?……悔しいけど、自分でも淳史の言葉に納得しちまったよ……。」
くじ引きをしようとしていた輝弘を淳史が止めた。そもそも祭りの屋台でゲーム機が当たった事がないからなー。あれ当たる人見たこともないけど、当たった人いるのかね?
俺達はくじをやめて射的や水風船釣りなどを楽しんだ。美玖が買ったわたあめを一緒に食べたりしていると、4人が呆れながらツッコミを入れてきた。
「そろそろ花火の時間になるんじゃないか?ここからは、ペアで場所取りをして最後に合流して話をしてから帰ろう。……誰かさん達は2人きりの方が切り出しやすい話しもあるだろうからな。」
淳史が腕時計を確認して声をかけてきた。
そして、淳史は輝弘と金澤を見ながら言った。
「……そうだな。俺も覚悟は決まってるからな。金澤、いいか?」
「う、うん。まぁ、アタシは良いよ。」
いつになく真面目な輝弘に顔を真っ赤にしながら落ち着きなく毛先をいじりながら金澤が頷いて2人だけで人混みの中に消えていった。
「じゃあ俺達も向かうか。淳史と濱谷も楽しんでこいよー。」
「うん♪可奈またねー。」
「はっ!?えっ、ちょっ!?アタシらは皆で見れば良くない!?おい!ちょっとまてー!そこのバカップルーー!!」
濱谷の叫び声が聞こえてきたが俺達も花火を見るために移動した。
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