第43話 海の自由時間
午後はペアで自由時間を過ごす事になったので、昼ごはんを食べた後皆それぞれ遊びに行った。
俺と美玖は浜辺をゆっくり手を繋いで歩いていた。
「猛も午前中はしゃいでたね。凄く楽しそうだったもん。」
「いやー、夏の海の魔力にやられたぜ……。美玖の可愛い水着姿を見たら自分を抑えられなかった。……まぁ、今だに魔力にやられて暴走してる2人がいるけどな。」
「もう、猛の視線と言葉はホントに恥ずかしかったんだからね?あはは……。杏奈も可奈も楽しんでるから大丈夫じゃないかな……。」
あの2人とは輝弘と淳史の事である。俺は昼ごはんを食べるときにいつも通りに美玖と食べさせ合ったら元に戻ることが出来た。
金澤と濱谷には揶揄われたけど……。
輝弘は金澤と一緒にまた海に入りに行った。淳史と濱谷は捕まってしまった濱谷が淳史と一緒に何故か浮き輪を借りてから海に入っていった。
「金澤は輝弘といい雰囲気になってるから良いんだろうけど……濱谷はどうなんだ?」
濱谷は追いかけっこの時マジ逃げしてたような……。
「う〜ん……可奈も大丈夫だと思うよ。文句を言っていたけど、顔は楽しそうだったもん。」
「そうなのか?」
濱谷が楽しそうだったなんて気づかなかったな。……もしかしたら、淳史の恋も実る……かもしれない。
「あの変態淳史に付き合えるのは濱谷だけじゃないのか?……あの状態の淳史は俺と輝弘でも付き合って遊ぶのは大変だしな。」
あんな状態の淳史に付き合える濱谷の体力はどうなってんだ?
「可奈の体力は底無しだからね〜。……アレが猛の友人じゃなければ、絶対に話したくないし、キモすぎるから消えて欲しい。」
「……お、おう。」
美玖の目から光が消えてしまって俺はたじろいでしまった。
……おい淳史!せめて俺の友人には美玖も安心して欲しいと思って皆で遊びに行ったりして親交を深めようと頑張ってきた俺の努力を返せよ!!
まさかここまで暴走するとは思わなかった。
……海の魔力って怖いね。
なんとか美玖を宥めて落ち着いた美玖と一緒に浅瀬で足が付く深さのところまで入った。
「きゃー!冷たくて気持ちいい〜。」
「今日も暑いから海日和だよな。」
「そうだね!……それ〜!」
「うおっ!?つめてー!!」
美玖が突然屈んで両手で海水をすくって俺に向かってバシャバシャとかけてきた。
「あははは!!どう?涼しくなった?」
「ああ、お陰で涼しくなったよ。ほれ!!」
「きゃーー!?ちょっと猛!?私、そんなに沢山かけてな……きゃー!つめたーい!!」
俺もお返しとばかりに美玖に向かって両手で海水をぶっかけた。
……ぶっかけるって言い方ってエロい響きだよね。
「むう〜!私も負けないもん!!」
「俺も負けないぜ!!」
俺達はお互いの身体に海水をぶっかけ合ったのだった。
「はあー、楽しかった〜。」
「水の掛け合いなんて、何が楽しいのか分からなかったけど、美玖と掛け合ってみて楽しさが分かったよ。」
好きな人と掛け合うのはめちゃくちゃ楽しいことがよくわかった。
「ホントそれ!私も海で水をかけあうカップルを見て、何が楽しいの?って思ってたもん!猛と一緒だから何をしても楽しいよ!」
「俺も美玖と一緒にいられるから幸せだし、楽しいよ。」
「……猛、私我慢出来なくなっちゃった。あっちにある岩の裏に隠れてシちゃお?❤️」
美玖は立ち上がって俺の腕を掴みながら言った。
美玖にそんな事言われたら水着がテントを張っちゃうじゃないか!
俺と美玖は岩の裏に隠れて静かに野外で楽しんだのだった。
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