第41話 海

「うおーー!!海だーーー!!」


「輝弘のテンション高すぎだろ……。」


「仕方ないだろう。夏の海というのはそれだけの魔力があるのだ!!そう!!俺達は今夏の海にいるのだ!!」


「淳史まで壊れてきてる!?」


いつもなら輝弘のテンションの高さに呆れていると、淳史が珍しく大きな声で叫んだ。


何故俺たちが海に来ているのかというと1週間前に輝弘からラインが入ってきた。


〜〜〜〜〜〜〜〜1週間前〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺は輝弘が所属している野球部の夏の全国大会を頑張る姿を見て俺も身体を動かしたい気分になって親父のボクシングジムに毎日通うようになっていた。


「ふっ!ふっ!」


「そうだ!速くて重い拳ならどんな屈強なプロでもダメージを負う!自分はダメージを負いすぎないようにガードしたり、カウンターで相手に自分以上のダメージを負わせろ!!」


俺は龍兄にミット打ちをしてもらっている。プロである龍兄に教われるのはありがたい。


「よし!時間だな。これで12ラウンド分の時間だな。一旦休憩を挟もう。ゆっくり休めよー。」


ベルが鳴って12ラウンド分の終了時間になった。龍兄は満足気に爽やかな笑顔を向けて鏡の前でシャドーボクシングを始めた。


……タフすぎる。そりゃーミット打ちは殴る方が疲れるけどさ、そのあとすぐに自分のメニューに戻るかね?


「猛、お疲れ様!カッコ良かったー!!」


美玖が可愛い笑顔を浮かべながらタオルを渡してくれた。


「いやー、流石に12ラウンド分はキツいわー。でも、現役プロに教わるのはスゲーありがたいよ。」


俺は美玖からタオルを受け取り汗を拭いた。

スマホからラインが届いた通知がきたからスマホを開いた。


ラインには輝弘の名前があった。


「来週のどこかで皆で海にいかねー?」


「輝弘からラインがきて皆で海に行きたいらしくて俺は行きたいけど、美玖はどうする?」


俺は美玖に聞いてみた。


「猛も行くなら私も行く!」


俺は美玖の返事を聞いてから輝弘にラインを返した。


「俺も美玖も大丈夫だ。あとは他のメンツだな。」


返信を送るとすぐに既読がついて返事が返ってきた。


「淳史の確認は任せろ!……有村さんに金澤と濱谷が来れるか聞いてもらうように頼んでくれるか?」


「オッケー!聞いてみるわ。」


俺は輝弘に返事を返してから美玖に金澤と濱谷を誘えるか聞いたら、すぐにスマホを弄って確認してくれた。


結果は皆大丈夫ということで来週に海に行くことに決まったのだった。


俺は休憩時間が終わり、地獄の練習メニューに戻った。


 〜〜〜〜〜〜〜〜現在〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そんな経緯があって海に来ている。


「2人とも盛り上がるのは良いけど、手伝ってくれよ。」


俺は海の家で借りたパラソルを持って空いている場所を探していた。


「おうよ!」


「そうだな。女子達が戻ってくる前に終わらせてしまおう。」


俺の言葉に輝弘と淳史が手伝いにきてくれた。

俺達は空いている砂浜にビーチパラソルを刺してしっかり安定したことを確認してからビニールシートを敷いて荷物を置いた。


そのまま下に着ていた水着になった。

輝弘は俺と同じボクサー型で淳史はまさかのブーメランパンツだった。


輝弘はボクサー型で上着は何も着ていないが、俺は上にパーカーを羽織っている。


「猛はなんでパーカーを着てるんだよ!お前の割れた腹筋を惜しみなく見せてキャーキャー言われたいと思わないのか!?」


輝弘がいつもより騒がしく言ってきた。


「別に良いだろ。それに、美玖以外の女性にキャーキャー言われても嬉しくないしなー。」


「ぐっ!!これだから彼女持ちは!!」


「聞いた相手が悪かったな輝弘。有村しか見えない猛に言ったところで、この答えが返ってくることは俺は予想できたぞ?」


俺の言葉に輝弘が悔しがりながら言って、俺の言葉が予想通りだったらしい淳史が笑いながら言った。


俺達は女子達が来るまでの間座って待っていることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る