第38話 くっついて離れようとしない美玖
俺がボクシングジムで汗を流しに行って親父にボコボコにされてから翌日になった。
何故か可愛いけど大変な現象が起きている。
今日は家で美玖とハンティングゲームをやっている最中だ。
クエストクリアをして集会所で次のモンスターを狩りに行く準備をしている途中でトイレに行きたくなったので俺はソファーから立ち上がった。
「悪い、美玖。ちょっと、トイレ行ってくるわー。」
「うん。分かったー。」
俺は美玖が返事を返してくれたのを聞いてからリビングを出て廊下を歩いてトイレの前までやってきてドアを開けようとして止まった。
「……?猛、トイレに入らないの?」
「いや……もしかして美玖もトイレか?もしそうなら、先に良いぞ?俺はまだ我慢出来るし。」
女子に対してはセクハラ発言になる言葉にはなるけど、一緒に住んでいるとトイレが重なる場合もあったりするから、一緒に暮らす時に美玖と話し合って恥ずかしがらずに言おうと決めたから美玖限定になるが、この話題は平気なのだ。
俺の言葉に美玖は首を横に振った。
「私はトイレじゃないよ?」
「……じゃあ、なして俺の後ろを可愛くトコトコ付いてきたんすか?」
「猛に可愛いって言ってもらえた!えへへ❤️……こほん。私が付いてきたのは、猛が1人でいなくなっちゃったら嫌だから、付いてきたんだよ?」
……あー、なるほど!!美玖は昨日みたいに俺が何も言わずに出かけるか心配でついてきたのかー……可愛いけども!!
「いやいや!!トイレに行くだけだって!!だから、美玖はリビングで待っててくれませんか?」
俺はトイレのドアを素早く開けて入りドアを閉めようとしたが、美玖が入ってきてしまった。
「やだ!!猛が離れると不安になっちゃうんだもん!!私の事は気にしないで良いからね?」
「気にするわ!!……あっ、でも限界に近いからやっぱりさせていただきます……。」
モソハソをやってると狩りの最中にトイレに行きたくなったら我慢するしかないから、クエストクリアした時には我慢出来る限界に近くなっている事が時々起きる。
……同じ経験をしてる同士おる?
俺は美玖に見られながらトイレをするという恥辱プレイをしてしまった。……死にたい。
それからも……。
「猛?どこ行くのー?私も付いてく!!」
冷蔵庫から飲み物を取りに行っても付いてきた。
今日は俺から離れる気はないらしい。
……まぁ、普段もあまり変わらないけどさ。流石にトイレには付いてきたり、冷蔵庫から飲み物を取り出すくらいは付いてこなかったけど……。
あと、人間っていうのは適応出来るもので、数時間でこの状況に慣れてしまった。可愛い美玖が俺の傍を離れずに付いてくる可愛さはもう宇宙一だな!!
「そろそろモソハソも集中力が無くなってきたから、身体を軽く動かしたいから公園に散歩しに行くか?」
本当はジムに行って練習したいけど、また親父と本気で戦いそうだし、美玖が許してくれるか分からないから、公園にした。
「うん!そうしよう!公園をお散歩するだけならお金もかからないし、自然豊かな公園を歩くのは気持ち良いもんね!準備しちゃおう!」
美玖は嬉しそうに俺の腕を組んで寝室に歩いた。寝室には美玖と俺の着替えや美玖の化粧品などが置かれている。
「うーん……今日はどうしようかなぁ。昨日よりは暑くないから、半袖にフレアスカートを合わせようかな?それともワンピースにしようかな?」
美玖は洋服選びに真剣だ。俺はTシャツにダメージジーンズの格好にした。
美玖がいる空間で脱ぐ事に躊躇いがなくなった俺がいるけど、大丈夫なんかな?
「よし!決めた!」
美玖は水色のワンピースを手に取っていた。今日はワンピースに決まったらしい。
美玖も部屋着を脱いで下着姿になりワンピースを着た。
今日はピンクの下着か……。
どうやら美玖も俺の前で着替えることに抵抗はないらしい。
「なぁ美玖。俺達って普通に目の前で着替えたりするけど、恥ずかしくないの?」
「えっ?うーん、恥ずかしいといえば恥ずかしいんだけど……猛にはもっと恥ずかしい姿見せちゃってるし、このくらいは大丈夫かなって思っちゃってるかも。だって夫婦なら、このくらいで恥ずかしがってたら一緒に生活なんて難しくない?」
「あー、それもそうだな。」
美玖の生着替えが見れるなら俺は大満足です!!
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