第36話 お風呂タイム

親父にボクシングジムでボコボコにされ美玖がやってきてしばらくジムで休んでから、家に帰った。


家に着いて部屋着に着替えてリビングにあるソファーに寝転がった。


「はあー、やっぱり親父は強くて勝てなかったなー。」


俺はリビングのソファーに寝転がりながら呟いた。

龍兄には親父をよろめかせただけでも凄いと言われたけど、俺は小さい頃から親父に教わってきた。


いつかは親父を超えてプロでやっていけると思っていた。……でも、現実は引退した親父に勝つ事も出来ずにいる。


最近では俺に才能が無くて、プロにはなれないけど、一度でもいいから親父に勝ちたいという気持ちだけは消えなかった。


「猛……大丈夫?どこか痛い?」


寝転がっている俺を美玖が心配して覗き込んできた。長くて綺麗な黒髪が垂れて俺の顔に触れてこそばゆかった。


「美玖は心配しすぎだって、親父にボコボコにされるのは慣れてっから大丈夫だよ。」


俺はゆっくり起き上がり、美玖の頭を撫でた。


「……それなら良いけど、猛ってお義父さんに負けると見てるこっちが痛くなるくらい、自分を責めちゃうから心配……。」


「美玖……。」


俺は親父に負けるたびに自分の才能の無さを思い知らされて、自分自身にムカついてしまう。


「美玖は俺の事をよく見てくれてるなー。大丈夫だ……今はプロになれるほどの才能が無いのは分かってるけど、才能が無い俺なりに前に進むからさ。一回くらいなら、まぐれで勝てるって!」


俺は美玖に笑顔をむけて言った。


「猛は自分の事を誤解してるよ……。」


「えっ?」


美玖が小さく何かをつぶやいたけど、俺の耳には届かないくらい小さかった。


「ううん、何でもない!猛が心配ないって言っても私は心配なのです!お風呂も沸いたし、一緒に入ろう!!お風呂へレッツゴー!」


美玖が俺の手を引いてとんでもない言葉を口にした。一緒に風呂に入ったら俺の身体は休まるどころかハッスルしてしまうのですが?


「待った待った!今日は俺1人で入るから!身体も痛めたわけじゃないから心配しなくても大丈夫だから!!」


俺は美玖の手を解こうとするが、出来なかった。……美玖ってこんなに力強く無かったはず!


「ダメ!!今日は私が看護するんだもん!!」


そのままズルズルと脱衣所まで連れて行かれた。


脱衣所でも抵抗を試みたものの俺の隙をついて部屋着と下着を素早く脱がされて、美玖自身も部屋着と下着を脱いで仲良く?風呂場に入ったのだった。


毎回思う事だけど、美玖の身体は白くて細身だけど、出るとこは出ていてとても綺麗だ。

肌もシミ一つ無くて、それでいてスベスベだ。

美玖以上に綺麗な女性はこの世にいないだろうな。まぁ、俺は美玖以外の女性の裸には興味ないから比べようがないんだけどさ。


というか美玖の可愛いさと綺麗さを超える女性なんているわけないか!!俺の彼女は世界一だもんな!!


「あう///猛流石に恥ずかしいよ……。」


美玖が自分の身体を腕で隠しながらモジモジしていた。


「……もしかして、心の声のつもりだったけど、口からダダ漏れでしたか?」


俺が恐る恐る聞くと美玖が無言でコクコクと頷いた。

……マジか。


「ホントすんません!美玖の可愛いくて綺麗な裸を見たら我慢出来ずに口から出てしまいました!」


俺は風呂場のタイルに土下座しながら謝罪をした。


「猛!?そこまでしなくても良いよー!!恥ずかしかったけど、嬉しかったから!!……」


「いや、そうだとしても謝罪をさせてくれ!!美玖の魅力は性格ももちろん可愛いくて、俺に尽くしてくれるし、プロポーションも保つ為の努力を欠かしていないからこそのスタイルなのも知ってる!!そんな可愛い美玖の裸は俺にとっては世界一なんだ!!俺が心の声を口に出して言ってしまうほどの破壊力がある!!だいたいそんな細身なのに、胸は美玖にあった大きさで、お尻も綺麗で細すぎない健康的な太ももとか!!最高です!!ありがとうございます!!」


俺は土下座をしたままテンションがおかしくなっている気がするけど……まぁ、家だし、いいか!!


「もうーー!!嬉しいけど、恥ずかしいからやめて〜〜!!」


お風呂場に美玖の声が響き渡るのだった。

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