第32話 皆とカラオケ

俺と美玖がカラオケ屋の前に着く頃には皆が待っていた。腕時計を確認するとまだ集合時間の五分前だった。何分前からいたのだろう?

……少しばかりイチャイチャしすぎたか?だが、美玖とイチャイチャするのはやめられないのだ!!


「悪い。随分待たせちまったか?」


「杏奈と可奈も早いね!」


俺が謝りながら皆の所に着くと、敦史が口を開いた。


「いや、俺達もさっき着いた所だ。……2人がイチャイチャして遅くなるのも予想していたから、気にするな。俺としてはもっと遅くなると思っていたからな。」


「俺達が遅れる事を予想してたのかよ……。流石に時間は守るっての!……なんか輝弘疲れてね?」


俺は敦史に突っ込みながら、何故か、疲れている様な感じの輝弘を心配した。


「……へっ!?疲れてはいねーって!!まだまだ、遊べるぜ!!……ただ、幸せすぎてボーッとしてただけだから!」


「ふっ、やはり、俺の罰ゲームは楽しんでもらえたみたいだな。渡部と金澤が幸せそうに過ごせたようで何よりだ。」


輝弘の言葉に敦史が笑いながら言った。なるほど、輝弘の好きな金澤と一緒に回れて楽しすぎたってことか。


「はー!?何でアタシが幸せそうに過ごしたって思ったし!!楽しかったけど、それだけだっての///」


顔を真っ赤にしながら言った金澤に対して美玖と濱谷がニヤニヤしていた。


「ツンデレおつ〜。乙女の顔しながら言っても説得力ねーよw」


「杏奈も私みたいに素直になったら良いのにー。毎日幸せで楽しいよ?ふふっ。」


「〜〜〜っ!!///だからちげーの!!後、可奈!誰がツンデレだよ!」


濱谷と美玖が金澤を揶揄ってる。

美玖が金澤を揶揄っているとこを見ると心を許せる友達なんだなって改めて思う。


「まぁまぁ、揶揄うのはカラオケ屋の部屋でやろうぜ?どうせ逃げられないんだからさ。なっ?輝弘?」


俺は悪い笑みを浮かべながら輝弘の肩を掴んだ。


「なっ!?猛は味方じゃなかったのかよ!!」


「俺はいつも揶揄われる側だから、たまには揶揄うのもしてみたいじゃん?」


「それじゃあ、カラオケ屋に入るとしよう。」


敦史が言いながら、カラオケ屋に入って行った。俺達も敦史の後に続いて店の中に足を踏み入れた。


カラオケ屋で受付を済ませて、案内されたルームに入った。


「さて、カラオケの前に飲み物を持ってくるか。高崎に渡部手伝ってくれ。女子達は先にカラオケを始めててもいいし、金澤を質問責めにしていても良いからな?」


金澤が鬼畜メガネ!!と叫んでいたのを気にした様子もなく俺達に手伝いをお願いした。


「わかった。」


「おう。」


女子達から飲みたいものを聞いてから、部屋を出た。今は男しかいないから、敦史に言いたいこともあったからちょうど良かった。


「なぁ、敦史は俺と輝弘の事を苗字で呼んでるだろ?俺達は敦史って名前で呼んでるんだから、名前で呼んでくれると嬉しいぞ?」


「確かにな!敦史って皆苗字で呼んでるけど、俺達の事は名前で呼んでくれよ!親友だろ!」


俺と輝弘の言葉に少しだけ驚いたような顔をした後に照れくさそうに笑った。


「……俺は、誰かと親友と呼べるくらい仲良くなったことがなかったから、そうやって言われると嬉しいものだな。……さあ、飲み物を持っていかないと金澤達に怒られそうだな。俺が濱谷の飲み物を持つから、有村の飲み物は猛で、金澤のは輝弘に頼んで良いか?」


「……おう!」


「任せろ!」


敦史が名前で呼んでくれた事にようやく本当の意味で敦史も俺と輝弘に心を許せる親友になれたんだなと感じて嬉しくなった。

俺達は自分達の飲み物も汲んでから分担して飲み物を部屋に持って行った。

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