第21話 新居に引っ越し

「こんなもんでいいかな。」


俺は荷物が無くなってスッキリした自分の部屋を見渡しながら呟いた。


「まさか、こんな形で引っ越すことになるなんてなぁ。人生はどう転ぶか分からないな。」


まだ16年しか生きてないけど、生活がこんな風に変わるなんて思わなかった。


これからの美玖との同棲生活がどんなものになっていくのか分からないけど、今は楽しみで仕方がない。


「そういえば、親父達がベッドは運ばなくていいからって言われたけど……美玖は何て言われてるんだろ?」


俺は自分の部屋だった場所を後にして美玖の家に向かった。


美玖の家に合鍵で入ると、玄関に美玖の靴だけしか無かった。

やっぱり美玖達のご両親も一緒に出掛けたのか。


俺は階段を上がって美玖の部屋の前でノックをした。


「はーい。どうぞ〜。」


美玖の返事を聞いてから入った。

美玖の部屋も物が無くなってスッキリしていた。


「よっ。どんな感じ?」


「後は、このバッグを持っていけば終わりかな。」


俺にバッグを見せてきた。


「それじゃあ、俺が持つから家に行くか?」


「いいの?ありがとう!優しい旦那様だね!」


俺にバッグを渡しながら美玖が笑顔で言った。


「ははは……年齢的にまだ結婚は出来ないけどな。一緒の家に」


俺は美玖からバッグを受け取り、俺たちの新しい家に向かって美玖の部屋を出た。


美玖が家の玄関を出た所で立ち止まって、家を見上げた。


「今までありがとうございました!私はこれから猛と一緒に幸せに暮らしていきます!」


美玖は家に一礼してから俺の腕に抱きつきながら言った。


向かい側に引っ越すだけなんだけど、今まで住んでいた家を出るんだから、お礼は言いたくなるよな。


俺も家に向かって一礼して、お礼を言った。


「よし!実家にも挨拶出来たし、俺たちの新居に向かうか!……向かい側だから実家も見えるけどな。」


「そういう雰囲気ないこと言わないの〜。ふふっ、私達の愛の巣に入ろう?」


俺たちは愛の巣……もとい、新居に入っていった。

美玖の荷物をリビングに置いてから、どの部屋をどう使うか決めようと考えていると、チャイムがなったので、インターホンモニターを見ると、作業服を着た人が立っていた。


話しを聞くとベッドの組み立てにやってきた業者さんらしい。

美玖を残して俺だけが玄関に向かい開けた。


玄関で待っていた男性3人が立っていて、その中の1人が俺に住所が間違いじゃないかの確認と名前に間違いがないかの確認をお願いしてきた。


確認すると親父の名前があり、どうやら親父が買ったらしい。


俺が住所などがあっていることを伝えて、名前は親であることを伝えた。その直後親父達が買い物から帰ってきたので、親父を呼んで確認をとらせた。


そのままベッドを置く部屋を聞かれたので、部屋に案内したら手際良く組み立てていった。


……なんかベッドデカくね?しかもベッド1つだけしか組み立てていかなかったのも気になるんだが?


親父に確認をしたら……。


「夫婦だからベッドは1つだけでいいだろ。」


とか言ってきた。

一緒に寝るのは実は初めてだったりする。

寝るときは美玖も自分の部屋に戻っていったしな。


「……あー、どうする美玖?」


「えっ?私は大丈夫だよ?というか、私はようやく、猛と一緒に寝れるのが嬉しくて顔がニヤけちゃうもん!毎日猛と一緒にいたら、猛への気持ちが暴発しちゃって、お母さん達に孫がデキた報告しちゃうかもね❤️」


美玖が妖艶な笑顔で言った。エロ可愛い妻だ。

……俺が理性を保っていれば大丈夫だろ。


……保っていられればだけどな。


「親父達は喜ぶだろうけど、まだ学生だから気をつけような?」


「うん。……でも、気をつけていても、燃えあがっちゃったら、仕方ないよね?」


美玖の言葉に思わず頷いてしまうところだった。


「これから末永くよろしくお願いしますね?ダ・ン・ナ・さ・ま❤️」


俺に抱きつきながら上目遣いで言ってくる美玖の可愛さに俺は昇天しそうになるのを堪えて抱きしめ返した。


「ああ、これからよろしくな。美玖。」


まだ始まってもいないけど、俺たちの同棲生活は甘い生活になるだろうなと確信した。


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