第20話 同棲の始まり
さて、まずは話を整理してみよう。
まず俺と美玖の家を向かい側の空き地に建てるという暴走をした俺と美玖の両親だが、決して金持ちという訳ではない。
俺の親父は今はボクシングジムのコーチをしているが、ミドル級プロボクサーだったのだ。
ミドル級のチャンピオンも獲得して、防衛戦も勝って、チャンピオンを引退までの長い間守っていたから割と有名人らしい。
俺にとってはジムに連れられて笑顔で俺をリングに上げてボコボコにする最低野郎でしかない。
……まあ、俺も負けず嫌いだからなんとか一発入れてやりたくて頑張ってる内に強くなれたけど……。
話を戻すと親父のプロ時代の賞金や契約金に加えて、今はジムの収入もあるから普通の家庭よりは裕福な方ではあるかもしれない。
美玖のご両親は父親は大学の教授をしている。研究に没頭して家に帰らないのは日常茶飯事だ。母親も研究員で同じ大学に行っている。
美玖の家も他の家庭よりは裕福な感じだろう。
そういう経緯もあり、この2つの家庭が協力してお金を出し合えば家だって建てられちゃうのだ!
……マジで何してくれてるんだよ……。
今は完成した家をみんなで見て回っている。
「いやー、しっかりとした家が出来て良かった良かった!」
「お互いに出し合った甲斐がありましたな!」
親父と美玖のお父さんが固く握手をしていた。
「この新築がどんな風に2人の愛の巣に変わっていくか楽しみだわ。」
「美玖と猛君もこれで気にせずに長い時間ヤれちゃうわね♪美玖頑張って孫を授かってね?」
母親達は俺と美玖を見ながら生暖かい視線を送っていた。
お義母さんがとんでもない爆弾発言をしたけど……。
「お母さん!!下ネタ言わなくていいから!!確かに猛と気にせずにイチャイチャ出来るのは嬉しいよ!!でもお孫さんはまだ早いと思うんだ!!」
美玖が顔を真っ赤にしながら叫んだ。新築で物もあまりないからなのか声が良く響くな。
「美玖、落ち着けって。年頃の男女が一緒に住むのってマズイとか思わないんすか?」
「「思わない!!むしろ早く孫が見たい!!」」
親4人がシンクロした。しかも即答かい!!
「さて、そろそろ2人の荷物を運び込まないとな!!冷蔵庫や洗濯機等はもう買って完成した時に取り付けてもらってあるから、後は2人の荷物と日用品だけだな。」
親父が腕まくりをしながら言った。
「……はあ、もう何言っても無駄だな。美玖とは結婚するから、同棲する日が早くなっただけと思えばいいか。美玖は自分の着替えや化粧品とか諸々あるだろうから、ひとまず有村家と高崎家で分かれて運び出す作業するか。」
俺は親達に言うのを諦めた。美玖との生活を楽しもうと決めた。……まだ孫は見せられないがな!!
「そうだね。そうしよっか!!せっかく猛と一緒に暮らせるんだから、楽しまないとね!細かい日用品とかは2人で買いにいこう!後で猛の部屋に置いてある私の物も取りに行くね。」
美玖は俺の部屋にいることが多くなって今では俺の部屋は2人の部屋になっていた。
「そのくらいなら俺が一緒に運び込んどくから大丈夫。」
「ホント?ありがとう、猛。優しくて強い猛が大好きだよ!……ちゅっ❤️」
「「あら!あらあら!!」」
「「ラブラブだな、2人とも!!」」
美玖が俺の頬にキスをした。
それを見た親達が盛り上がっていた。
俺は美玖にキスしてもらうのは嬉しいんだけどさ、親に見られるのは恥ずかしい。
「当たり前だよ!!私と猛はラブラブ夫婦だもん!!」
美玖が笑顔で親達に言った。美玖の中ではカップルから夫婦に変わったようだ。
でも、俺は美玖の笑顔を見てとても嬉しくなった。
「そうだな。俺たちはラブラブ夫婦だもんな!!よし!荷物を頑張って運び入れるぞー!!」
「「おーー!!」」
美玖と親達が気合いの入った声を上げた。
俺たちは荷物の運び出しに追われることになった。
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