第8話 変な視線?

「今日も一日長かったなー。体育以外の授業は眠くなっちまうよ。美玖の可愛い姿を座りながらずっと見れるのは嬉しいんだけどなー。」


今日の授業も全て終わり背伸びをしながら隣にいる美玖と話しながら歩いていた。


「猛は身体を動かす事大好きだもんね。私を見つめて授業聞いていなかったなら、私がお家で教えてあげるから安心してね♪」


「美玖と2人きりの勉強会は可愛い美玖をいくらでもイチャイチャしても怒られないし、美玖の教え方も上手だから覚えやすいんだよな!明日はショッピングデートだし、今日はしっかり勉強しようかな!」


「任せてよ!今日はお家でお勉強してから一緒にお料理も作ろうよ!……はあ、また入ってるし。」


俺が美玖の下駄箱を覗き込むと一枚の封筒が入っていた。


「……ラブレターか。美玖の可愛いさならラブレターが入っていても不思議じゃ無いよな。」


「……いい迷惑だよ。こんなの貰っても嬉しく無いし、いちいち捨てるのだって時間の無駄だよ。猛以外からは何も貰いたくないよ……。」


美玖はため息を吐きながらラブレターを細かく破ってからゴミ箱に投げ捨てた。


美玖は徹底して男が嫌いになっちまったなぁ。

まぁ、中学時代に散々嫌な思いをしてきたから仕方ないかな。


「はぁ……せっかく猛とのお勉強会と明日のデートを幸せな気分だったのに、嫌な気分になっちゃったよ。猛ー、頭撫でて〜。」


「美玖ほど可愛いければ仕方ないんだろうけど、俺以外と付き合う気が無いって知ってるのはクラスメイトだけだしなー。」


俺は美玖を抱き寄せてから頭を撫でてあげた。

美玖の髪は艶があって、サラサラで撫でごごち最高だなぁ。


「猛に可愛いって言われたり、愛しているって言われるのはとっても嬉しいけど、他の男から言われたらサイアクな気分になっちゃうよ。学校中に伝わるくらいイチャイチャすればこういうのは無くなるかな?」


「もっとイチャイチャすれば俺も授業頑張れるし一石二鳥だな!それでも無くならなかったら、また考えようぜ!」


俺と美玖の間に割って入るのは無理だって分かれば、ラブレターも無くなるだろう。


「これで学校中に広まって変な男子から解放されたら良いなー。猛早く帰ってイチャイチャしよう!お勉強会前に猛成分を補給しないと無理!!」


「そうだな!帰るか!俺も美玖とイチャイチャしないと勉強出来ないしな。」


俺の腕に美玖が抱きついてきてゆっくり歩きながら帰った。

俺は昇降口で俺たちを見つめる男子がいた事に気付いていたが、今は放っておく事にした。


美玖に無理矢理絡んでくる素振りを見せたらボディブローで沈めれば良いだけだしな。

美玖に手を出そうとする奴には容赦せん!!


「ねぇ、猛。ひょっとしてあの男がそうだよね?」


美玖が小声で話しかけてきた。


「美玖も気づいてたのか。」


「うん。私男子からのエロい視線には敏感になったからね。散々中学の時もそういう視線向けられてきたし……。」


美玖は中学時代ずっとそういった視線に耐えてきたんだもんな……。

美玖の外見だけ見やがって!美玖は外見だけじゃなくて中身も素敵で可愛いんだよ!!


「でも毎回ラブレター破ってるのに何もしてこないから小心者ってことか?」


「うーん……違うと思う。猛が強く見えてるのもあるだろうけど、私が冷めた目でラブレターを破ってると嬉しそうにしてるから、ただ単に馬鹿なんじゃ無い?」


「……納得したわ。」


……おそらく、あの先輩だか同級生だか知らないけど、最初は破られてムカついたけど、常に俺がいるからなかなか声をかけられないでいるうちにラブレターを冷たい目で破られることに喜びを覚えてしまったのか……美玖の一言で解決出来そうじゃね?


ボディブローをかましたら喜ばれたとかは流石に嫌だわ。美玖限定だからそんな事にはならないか?


……なんにせよ来週の放課後には解決しちゃうかな。明日はショッピングデートだし気持ちを切り替えよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る