第3話 初登校でもイチャイチャ
ピピピピピッ!!
「朝か……うーーん!!」
俺は目覚まし時計を止めて大きく伸びをしてベッドから起き上がった。
「天気も晴れて良かったな。……美玖はもう来ているみたいだな。」
俺はカーテンを開けた。窓から朝の日差しが入ってきた。
一階から包丁で何かを刻んでいる音がするからもう家に来て朝ごはんを作ってくれているようだ。
俺は新しい制服に着替えて洗面所で身支度をしっかり整えてからリビングに入った。
「おはよう、美玖。」
「おはよう、猛!もうすぐ出来るから座って待っててー。」
「………。」
俺は美玖の制服姿を見て、あまりの可愛さに固まってしまった。
美玖の制服姿は中学時代に沢山見てきたのに高校の制服姿がとても可愛く見える。
中学よりも制服が可愛いからか?いや、違うな。美玖が可愛すぎるから制服も似合ってるんだ!
「……?どしたの?」
テーブルに朝食を置きながら返事をしない俺を不思議に思い、俺の方を見て可愛く小首を傾けた。その仕草はとても可愛い!!可愛すぎる!!
「美玖が可愛すぎて、固まっちまったよ。」
「えっ!!ホント!?やったー!猛に可愛いって言ってもらえた❤️猛もカッコいいよ❤️」
テーブルに朝食を置き終わった美玖は俺に抱きつきながら言った。
「これだけ可愛かったら、高校でもすぐに有名人になっちゃいそうだな。」
「別に私はなりたくないんだけどなー。馬鹿な男子達も寄ってきそうだから憂鬱だよ……猛に守ってもらっちゃお。」
「任せておけ!俺の可愛い彼女に手を出そうとする奴は全力でぶん殴ってやるぜ!」
「……猛の全力で殴ったら死んじゃうよ?半殺し程度でお願いね?」
美玖にお願いされたし、半殺し程度で許してやるか。……一発くらいなら全力でも良いよな?
「一発だけでも全力はダメだからね?」
「なに!?何でバレた!?」
「猛の考えることくらい分かるよー。何年一緒にいると思ってるの?」
幼馴染である俺たちはお互いが何か隠し事をしていたりすると何となくわかるし、考えてる事も分かるんだよな。
「それよりも朝ごはんにしようよ。」
俺に抱きついていた美玖が離れながら言った。
「そうだな。今日も美味そうだなー。」
「愛情たっぷり込めましたから!」
美玖は胸を張りながら自慢げに言った。
美玖の朝ごはんを2人で仲良く食べた。
「「行ってきまーす。」」
これも小学生の頃からの日課になっている2人で一緒に同じ家を出るという俺たちには当たり前の光景だ。
中学の友達からはそれが当たり前のお前は贅沢者だって言われていたっけ。
今日から通う高校は家から歩いて40分くらいの場所にある。家から近いからって理由で選んだ。
「入学式の日にも俺たちの両親は仕事って、よく考えると無関心過ぎるというか、自由人と言えば良いのか。」
「ふふっ。仕方ないよ。私の親は2人とも考古学者だし、猛のご両親も教え子さん達のボクシングの大会や試合で忙しいみたいだし。」
お互いの親が忙しいのもあり、俺たちは2人でいることが当たり前になっていったからな。
幼馴染から彼女に変わったことを両方ともに報告したら、スゲー喜んでたし、早く結婚してしまえって急かしてきたんだよなー。年齢的にまだ出来ない歳だって分かってるはずなんだがな。
「あっ!猛!あそこが新入生のクラス表みたいだよ!行こ行こ!」
俺の腕に抱きついている美玖が引っ張りながら言った。
名前を探した結果は2人とも一緒のクラスだった。
「美玖と離れなくて良かったぜ。授業中も美玖の事を眺めてられる。」
「私も猛と一緒で良かった〜。離れてたら、変な虫がたかってきそうだもん……。」
美玖の目から一瞬だけ、光が消えたんだが……。美玖は中学のアホ共にナンパされてから男に対して当たりが強いんだよなぁ。
「流石に虫扱いは可哀想すぎねー?」
「だってアイツらは私の内面じゃなくて、顔とか胸とか腰とか脚とか見ながら告ってくるんだよ!!サイテーでしょ?」
「……サイテーな奴らだったわ。」
中学ナンパされてるところは助けてきたけど、告白の時は流石に美玖に付き添わなかったからその情報は初耳だった。
美玖は容姿も完璧だけど、内面も優しくて思いやりがあって魅力的で可愛らしい女の子なんだよ!!何で容姿だけで決めてるんだよ!!
俺は入学式が行われる体育館に美玖と移動しながらサイテーな奴らの愚痴を美玖から聞かされていた。
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