みちしるべ

「みなさん! こっちへ避難してください! こっちから地下通路を通って逃げてください!」



魔物の群れが街の人々を襲う中、その中で一人街の人の命を守ろうとしている人がいた。その名はコラン。ペレグレイン城の一人の兵士だ。



「誰かぁぁ! 助けてぇ!!!」



男の声が聞こえ、コランは直ちに声のする方へと駆けつけた。稲妻のような速さで駆けつけた先には、1匹の狂狼に襲われる男性がいた。コランは目に見えない速さで刀を抜くと狂狼の首を切り、狂狼は首から血の雨を降らし、その場に倒れた。



「ありがとうございますコランさん。死ぬかと思いました・・・・・・」



「命があって何よりだ。さぁ、早く地下通路へ」



男性は礼を言うと一目散に地下通路へと走っていった。



「これで結構な人の住民の誘導に成功したか・・・・・・」



「コラン! 住民の誘導は全部完了だ。部下が残った家の中とかを調べたけど、人の気配はないそうだ」



「そうか、ありがとうガルバン」



その時だった。コランの身につけているエメラルドストーンがいきなり光だし、その光は一点に集中し直線を描くように光が放たれた。そして、どこからともなく声がした。



『道を解こう。この先に、お前の目指すべきものがある』



声はなくなり、コランはとっさに家族3人の顔を思い浮かべた。



そして、



「ガルバン、着いてきてくれ。俺の家族が危ないんだ」



「どうしてそんなこと分かるんだ。まぁ、避難民は全て誘導した。行くぞ」



「ありがとう、ガルバン」



2人はエメラルドストーンが解く道を走っていった。



この先から何か嫌な気配を感じる……。



「ガルバン、俺は先に行く。家族の安全は任せたっ」



そしてコランは目にも止まらぬ速さでその場から離れると、剣を抜きただ一直線に駆け出していった。



「あいかわらずその速さは師匠譲りかよ」



ガルバンは後を追った。



そしてコランが駆けつけた時は、妻マーリィの両足は切断され、手には魔人ベトムの鎌が突き刺されていた。



そしてエリスの見る記憶は、エリスたちがその場から離れても続いている。



「ほほぉ、私の腕を切り落とすとはあなた、なかなかの者ですね」



「お前は何者だ、見るからにお前が一番強そうだが、お前らは何をしたい」



魔人ベトムは不思議な笑みを浮かべた。



「そうです、私はこの軍で1番強い魔人ベトムと言う者です。私はとある人からの命令である人物の殺害を任されていましてね、見る感じ、あなた、エリスという少年のお父さんですか?」



「そうだ。俺の名はコラン、そしてエリスは我が息子。そして、家族を守るのは俺の仕事! 父とはそういうものだ!」



「なんとも恐ろしい。闘争本能を持つ小物ほどウザイものは無い。教えましょうコラン。私の腕を落とした礼です。その命、落とさせてもらいます」



片腕を無くした魔人ベトムはそれでもコランと互角の勝負をし、半日続いた戦いは、ついに終止符を打つ。



「魔人ベトム……、これが最後だ」



「……ここまできてまだ隠し技があるんですか。とんだ大物だぁ。確かに他の方もエリスという少年を恐れる理由がわかる……。だけどねぇ、コラン。あなたらもう死んでいるんです」



「何?!」



「私がこの半日で戦いながら仕掛けた究極魔法を今 ! 放つのです!」



究極魔法だと……? いつの間にそんなものを。



「私の魔力が凝縮されています。まもなくここの領域全ては滅びるでしょう。そんなことしてたまるか!

ペレグレイン一の兵士として名を挙げお前を倒す! 私はコラン! を息子に持つ、誇り高き兵士だ!」



コランは光溢れる剣を魔人ベトムに振るった。



「楽しかったですよ。コランさん……」



記憶はここで途切れ、目を開けると、エリスは元の世界に戻っていた。


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