旧ペレグレイン城

約二週間ほどかけて、僕とガルバンさんは旧ペレグレイン城に訪れた。ペレグレイン城に来る道中で、剣を教わって間もない初心者が倒すような魔物を倒しながら、ガルバンさんに剣の稽古をしてもらった。短い期間という事もあり、まだ自らの力では群れには適わないが、2〜3体は自力で倒すことができるにまで成長した。



ガルバンさんが言うに僕は剣の才能があるらしく、成長速度が他と比べ速い方と言われた。



「着いたぞ、ペレグレイン城だ」



やっと着いた僕の故郷は原型がなく、ペレグレインがあった場所は、大きな1つのクレーターが出来ていた。



「お父さーん!」試しに言ってみるが、もちろん返事は帰ってこない。



「まずはコランとその魔人が戦った場所付近まで行こう」



魔物の襲撃から約1ヶ月しか経っていないため、もしものことがあるかもしれないということで、ガルバンさんは対魔法・攻撃性の半球型のバリアを張りその中に入りながら探索を行うことにした。



「多分、ここです」



元のペレグレインの記憶を頼りに、最後父コランと別れた場所付近に近づき捜索をしてみる。



「コラン、あいつはそう簡単に死ぬやつじゃない・・・・・・。相手がもし魔王五天魔だとしても、逃げきれているはずだ」



ガルバンさんは何らかの痕跡がないか、辺りを探っている。



僕も探していると、一瞬キランと何かが光ったので側までいくとその光った正体が明らかになった。それは、



「お父さんがいつもつけているネックレスだ・・・・・・。」



「何?!」ガルバンさんは急いで駆けつける。



「これ、いつもお父さんがつけているネックレスです。何回も見ているので見間違うことはないかと思います」



「確かに、これはコランがいつもつけていたエメラルドストーンのネックレスだな」



「エメラルドストーン?」



「エメラルドストーン。それはある轟雷の都でしか取ることのできない宝石で、世界で一番珍しい宝石のクリタリアスが、その街でしか発生しない雷に撃たれ続けられた結晶が、このエメラルドストーンなんだ」



「そんなすごい宝石を、僕のお父さんは持っていたんですね」



「どうもその宝石は師匠、つまりフートパスの村長から貰ったと言っていた。なんともエメラルドストーンには『導き』という代名詞が付く程で、持ち主の進むべき方へと導いてくれるそうだ」



僕はエメラルドストーンに手を触れてみる。すると不思議なことに、その石からは微かだが少しの電気を感じた。



そして次の瞬間、その石の中に吸い込まれるような感覚に陥り、誰かの記憶のようなものが頭に入り込んできた。その者を第三者から見るように当時の記憶が再生された。そこに映っていたのは忘れもしない日、ペレグレイン城が魔物に襲われている日の情景だった。



住居が一気に火の海に変わっていく最中、人々を安全な場所へと誘導する1人の兵の姿がいた。それは紛れもない父コランだった。



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