同じ境遇
部屋につくとそこには、今までに見た事ないほど大声を上げて泣くリビアと、そのリビアと手を繋ぐベッドに寝ているお母さん、そして村の医者の方々がいた。
「お母さん!」
僕は急いでお母さんの元へと駆けつけ、リビアの手の上からお母さんの手を握る。
「医者のサゴンです。マーリィさんの様態なんですが・・・・・・」
「様態は・・・・・・?」
「死亡です。原因は毒死だと考えられます。足の切り傷の部分から無臭無色の毒が発見されました。マーリィさんが死亡してから急に毒が現れました。この毒を仕込んだ魔物はとんでもないやつです。こんな毒、聞いたことない・・・・・・」
「え、お母さん、うそ・・・・・・でしょ?」
お母さんの腕を触ると、温もりはほとんどなく、徐々に冷めてきているのがわかる。
お母さんを殺したのは、魔人ベトムだ。そうだと分かっていても、ここにいる罪のない医者を責めてしまうのは何故だろう。もっと早く毒を見つけていたら、そもそもあの時リビアを母ではなく僕が背負っていたら。もっと早く逃げれていたかもしれない。
何かを責めないと落ち着かないこの気持ちはなんだろう。それに、何よりも悔しいのは、お母さんの死の直面に、僕がいなかった事だ。休むことなく何かを攻め続けることと悔しい思いがぶつかる度、わっと涙が出て、止まらない。
そして目の前にいるリビアを見て、僕はリビアの頭を撫でる。
リビアはもっと苦しいに決まっている。一番親といたい時期にいなくなってしまうのはとても辛いことだ。それにまだリビアは、7歳の幼い少女だ。
後日、母の遺体は埋葬され、墓の中へと、永遠の眠りについた。
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