第13話 プレゼント
先程買ったドレスを
「「ちょっと私達はあっち見てくるね」」
「了解」
(さて、俺は何を見ますか)
現状、武器が欲しいとは思っていない。剣に関してはグラムがある時点で必要じゃないし、防具も今必要とはしていない。そう悩んでいる時、店員の女性が
「何か探し物でもありますか?」
「いえ、申し訳ないのですが、逆にほしいものが無くて......」
すると、店員の女性が少し悩んだ素振りを見せた後
「じゃあ、一緒に来た方にプレゼントしてみてはどうですか?」
「!!」
いつも武器屋なんて一人で来るものだから、自分のものしか買うことを勘げえていなかった。でも、店員さんの言う通り、ルーナやクロエに何かプレゼントしてもいいかもしれない。
二人には数えきれないほどの恩がある。そうじゃなくても、真っ先にプレゼントを誰に渡すと聞かれたら、確実に二人が思い浮かぶだろう。
「どうしますか?」
「お願いします。何かいいのはありますか?」
「では、こちらに来てください」
店員さんの後をついて行くと、一旦武器屋を出て隣にある装飾品店へ入る。
「ここにある指輪とかは、付与魔法なども付いているので戦闘時にも使えて便利だと思います」
「へ~」
言われるがまま眺めていると、ふと赤色の装飾品と青色の装飾品が目に着く。それに気づいた店員さんが
「赤色は火耐性を持っている指輪になっていまして、水色は水耐性を持っている指輪になっています」
火耐性と水耐性か......。ルーナは青色の目をしているし、クロエは赤色の目をしていることから似合うと思う。
「ではこの二つをください」
「了解いたしました。お客様は何にしますか?」
「お、俺ですか......」
自分の分までは考えていなかった。
「お客様は水色の指輪とかはどうですか?」
「青色ですか? これは水色と何が違うのですか?」
「青色は滅多に使われないとは思いますが、氷耐性持ちの指輪です」
「あ~。ではこれでお願いします」
「了解いたしました。では、こちらへどうぞ」
そう言われて、レジまで進み、3つの指輪を買おうとした時、店内に一人の男性が入ってきた。
「あれ? メイソンじゃねーか」
「あ、ガイルさん」
「なんだ? 嬢ちゃんたちにプレゼントか?」
「まあそんなところです」
は~。なんでこんなところで知り合いと会うかなぁ。いや、やましいことをしているわけじゃないから別にいいんだけど、やっぱり少し恥ずかしい。
「ま、嬢ちゃんたちならメイソンからもらったものなら何でも嬉しいと思うから自信をもって渡してやれよ」
「そうだといいのですが」
ガイルさんはこう言うが、女性が装飾品をつけると言うのはそれなりに大切なことだと思う。だから、今回も少し迷っていた。三人で一緒に選んだ方がいいのではないかと。
「大丈夫だって。俺なんて嫁に買うものを毎回悩んで買っているんだから。それでも喜んでもらえるんだから大丈夫だ。自信を持て」
「はい」
って、え? ガイルさんって既婚者だったのか!? そんなことを思っているところで、店員さんがこちらへやってきて個包装されたものを三つ渡される。そして会計を済ませて二人の元へ戻ると、なぜかジト目で見られる。
「あの店員さんと何していたの?」
「え? いや何でもないよ」
ここでプレゼントを買ったって言うなら、三人で選んだ方がよかったと頭によぎってごまかしてしまった。
「ふ~ん。言えないことなんだ......。浮気?」
「違う違う」
(ていうか俺たち付き合ってないよな?)
「まあいいけど。じゃあちょっと遅いけどお昼にしようか」
「あぁ」
そして、武器屋を後にして昼食を取り始める。ランドリア全体が見える草原に三人で座ると、先程からルーナが持っていたバケットを開ける。
「はい。サンドイッチだけど」
「ありがとう」
渡されたサンドイッチを一口食べると、さっぱりしたがらも触感が良くて、二つ目、三つ目と口に運んでしまう。そして、あっという間に食べ終わると二人は満足げな表情をしながらこちらを見てきて
「おいしかった?」
「うん。おいしかった。もっと作ってほしい」
ごまかすことなく素直に答えると、クロエがそっぽを向きながら
「ま、まあ気が向いたらまた作ってあげる」
「ありがとな」
「私も一緒に作ったんだから~~」
「ルーナもありがとな」
「うん!!」
そして三人で雑談を挟みながらゆっくりとしていると、夕日が落ちてきたので二人が自宅へ帰ろうと立ち上がったため
「二人とも、これ」
俺はそう言って、先程買った指輪を渡した。
「「え?」」
「あ~。いつもお世話になっているお礼」
すると、二人は茫然とした表情をしたまま受け取ってくれて
「「開けてもいい?」」
「あぁ」
個包装されている箱を開けて、二人が指輪を見る。
「一応は二人の瞳の色に合わせて買ってみたんだけど、似合わなさそうだったらどこかへでもおいておいてくれていいよ」
「絶対に似合うよ!!」
「そうだよ!! それにメイソンが買ってくれたものなら何でもつけるよ」
「ありがとな」
そして、俺も自分ように買った指輪を手に付ける。
「これで、俺たちがパーティって証明になるな」
「「うん!! 本当にありがとう!!」」
二人はそう言いながらずっと指輪を見ながら表情が崩れていた。
(よかった。喜んでもらえて)
「じゃあ、家に戻ろうか」
「「うん!!」」
※
もし面白かったら、☆☆☆→★★★で応援していただけると幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます