第12話 デート1
翌朝。食堂へ入ると、すでにルーナとクロエがエプロンを着て料理をしていた。
「おはよう」
「「おはよ!!」」
「何作っているの?」
「秘密。朝食はこれね」
クロエとルーナが指さす方を向くと、そこにはすでに黒パンと野菜のスープが置いてあった。
(これ、ルーナとクロエが作ったのか??)
二人とも料理なんてできたのか......。偏見だが、お姫様は料理や家事ができるとは思ってもいなかった。
「ありがとう」
「うん! 先に食べてて。私たちももう少ししたら一緒に食べるから」
「あぁ」
いや、先に食べててって言われてもなぁ。そう思いながら、二人が料理している姿を見守る。
(本当に可愛いな)
美女が料理しているだけでも可愛いが、金髪美女と銀髪美女が和気あいあいと料理しているのを見ると何時間でも眺められる気がした。すると、ルーナがくるりと回って俺の方を向いてきて、目が合う。
「「あ」」
「ん? ルーちゃんどうしたの?」
「えっと......。メイソンがずっとこっちを見ていたから」
それを聞いたクロエがこちらを向いてきて、ニヤニヤしながら
「見とれてただけでしょ」
「ち、ちがく...はない.......」
否定しようと思ったが、なぜか否定できなかった。ここで否定してしまったら、自分の気持ち、そして二人にも失礼だと思ってしまった。
「ね!!」
「う、うん。メイソンが私たちに.......。えへへ~~」
ルーナはなぜか表情が緩みながら料理を再開した。そしてなぜかクロエはウインクをしてきた。
(クロエ、絶対に俺の事からかっているだろ!!)
そこから数分経って二人がテーブルに座ったので、全員で料理を食べ始めた。まず一口目にスープを飲む。
(!?)
なんだこの旨さは!! 程よくしょっぱくて、野菜の臭みを消しつつ味は活かされている。二口目、三口目と食べていると、クロエは笑顔で、ルーナは不安そうに俺の事を見ていた。
「作ってもらったのにごめん。夢中になってた、おいしい」
「見ればわかるよ!! よかった。言ったでしょ、ルーちゃん」
「うん!! 良かった......」
その後も二人が作ってくれた料理を夢中で食べていたら、あっという間に朝食が終わった。そして、三人で下街に出ると、まず最初に洋服屋に連れていかれた。すると、クロエとルーナが和気あいあいと洋服を選び始めた。
(俺、何していればいいんだ?)
はっきり言って、洋服になんて興味が無いし、まずもってここのお店は女性用の服しか置いていないしなぁ......。
「ルーナ、クロエ。俺店の外で待っているから見終わったら連絡して」
「「ダメ!!」」
「え?」
なんでそんなに強く言われるんだ? 俺ってここにいてもいらない存在だろ......。何なら、ルーナとクロエの二人で話している方が服も決めやすいと思うんだけどなぁ。
「私たちが選んだ服を最終的にはメイソンに決めてもらうんだから!!」
「クーちゃんの言う通りだよ!!」
「それってマジ?」
「「マジ!!」」
そんな重大なことを俺に任せて本当にいいのか? ふとそう思った。なんせ、服と言えば女性にとって重大な必需品の一つだと思う。それを俺に決めさせるって......。
「だからきちんとそこで待っていてね!!」
「あ、はい」
そこから一時間ほど経ったところで、やっと二人が俺へ数着の洋服を見せてきた。
「ここから私とルーちゃんようで一つずつ選んでね」
「いいけど、嫌なら嫌って言ってね」
マジで俺のセンスなんて自身ないから、嫌なら嫌って言ってもらえた方が助かる。
「大丈夫。メイソンだから!! それに私たちが嫌ならまず選んでもらわないからさ」
「そ、それならいいけどさ」
まず最初にクロエの服から選び始める。ベージュの服と黒のドレス。
(う~ん......)
クロエは性格的にも髪色的にもベージュっていうより黒色の服装が似合うと思う。ベージュも似合わないわけではないけど、黒のドレスを想像するだけでドキッとしてしまう。
「黒のドレスじゃないかな?」
「やっぱり!? 私もそう思ってたの!!」
すると、次はルーナが俺の目の前に来て
「私のもお願いします」
「う、うん」
ルーナから渡された服は、白と水色のドレス。はっきり言ってこっちに関しては、どっちも似合うと思う。クロエの時みたいに黒が良い!! と断言できるほどではなく、どちらのドレスを着たとしても似合うと思ってしまった。
「どっちも似合うとは思うけど、白色のドレスじゃない? 髪色とかと会うと思う」
するとぱぁっとした表情になりながら
「そっか!! じゃあ私はこれを買ってくる!!」
そう言って、二人は店員にドレスを渡して買いに行った。
(本当にこの選択であっていたのかな?)
そう思いながらも、洋服屋の外で待っていると、二人が満面の笑みで外に出てきて
「「メイソンありがと!!」」
「あぁ。でも本当によかったのか? 俺の選択で」
「「いいの!!」」
「そっか。それならいいけど」
「「うん。じゃあ次に行こっか」」
二人が突然、手を繋がれて次のお店へ向かい始めた。
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