第8話 魔族の真の狙い
その言葉を聞いて、俺たち三人は唖然としてしまった。
(なんで魔族がここに?)
驚きを隠せない状況の中、ロンローリ様に質問をする。
「えっと、それでここに来た魔族をどうしたのですか?」
「普通に追い返したさ。なんせ一族は魔物に襲われたんだぞ?」
「そうですよね。よかった......」
魔族の事情を知らない以上、魔族が魔物と絡みがあるかはわからない。だが、一般的な認識として、魔族の命令の元で魔物は動いているとされている。それに加えてこの間戦ったリーフは、元々人族だった。人族があの数の魔物を操れるとは考えにくいが、魔族に変わったなら納得もいく。
「あぁ。それで今回、魔族が来たことも報告したくてギルドに依頼をしたんだが、依頼しなくてもよかったな」
「そうですね。それにロンローリ様の頼みなら依頼なんてしなくても来ましたのに」
ロンローリ様には恩があるし、クロエの家族でもある。大切な人の家族を守りたいと思うのは当然だし、略奪の力もそのためにあると思っている。だから、そんな人からお金を取ろうとなんて思わないし、力を貸してほしいと言われればすぐさま駆けつけるに決まっている。
すると、ロンローリ様は少し笑いながら
「あはは、メイソンくんはそう言うと思っていたよ。でも、依頼と言うのは王族としてやるべきことなんだよ。そうじゃなくちゃ示しがつかない」
「??」
(示し?)
「わかっていないようだね。王族と言うのは、むやみに力を使っていいわけじゃない。それは家族や知人でもだ。だから、頼むならそれ相応の報酬を払うのは当然なんだ」
「でも......」
「それに、メイソンくんは狐人族では英雄だ。そんな人物をむやみやたらに無償で頼むわけにもいかない」
「......」
そこまで考えなくてもいいのに......。それは、ルーナやクロエも同様の考えだったようで、首を傾げていた。
「これは私が決めていることだから、気にしなくていいよ」
「わ、分かりました。でも本当に力を貸してほしい場合は言ってくださいね」
「あぁ。それはお互い様だけどね」
「はい。ありがとうございます」
すぐさまロンローリ様は深呼吸を一回挟んだ後、真剣な顔で尋ねてきた。
「本題に戻るが、魔族は私たちの墓地、それも偉人たちの墓地を見て周っていたんだよ」
「え......」
それを聞いてすぐさまルーナとクロエの方を見ると、俺と同様に驚いた表情をしながら俺の方を見て来ていた。俺たちの表情を見ていたロンローリ様が
「何か知っているっぽいね」
「はい。できればこの情報は内密にしていただきたいので、信用における人物を置いて、王室から一旦出て行ってもらってもいいですか?」
「あぁ」
すると、ロンローリ様の指示でクロエの血縁者以外、すべての人物を王室から退室してもらった。
「ありがとうございます」
「良い、それよりもなんなんだ?」
「ルーナの弟からの情報なのですが、魔族が死体をよみがえらせようとしています」
「ん? それは普通なのでは?」
「そうですね。ですが、今魔族が行っているのは意識のある状態で死体を蘇らせようとしているところです」
俺の言葉を聞いた瞬間、ロンローリ様の血相が変わった。
「それは本当か?」
「はい。確かな情報です」
ルッツから言われた情報だ。嘘があるとは思えない。
「そ、そうか。知らせてくれてありがとう」
「はい。このことは内密にお願いします」
「わかっている」
この情報が知れ渡ってしまうと、世界各国で墓荒らしが起きたり、最悪内乱が怒ってしまう。それだけは避けなければいけない。
「他には何かありますか?」
するとロンローリ様は笑顔になりながら
「いや、ない。結局のところクロエの顔が見たかったのと、未来の息子候補が見たかっただけだからな」
「パパ!!」
「あはは~。まあいいさ。クロエも頑張りなさい」
「うん......」
顔を赤くして、モジモジしながら俺を見て来ていた。
(......)
どんな反応をしていいのかわからないって!!
「じゃあこれからもクロエを頼む」
「「はい」」
その後、俺たちは王室を後にした。
☆
その頃ある少女が魔方陣を使い、黒い靄の中から一体の魔族が蘇生した。
「主様、これから私は何をすればよろしいでしょうか?」
「エルフの国を滅ぼしてほしいの」
「仰せのままに」
すでにこの時、魔族が動き出していることを俺たちは知りもしなかった。
※
これにて3章完結です。
4章のプロットはできています。
作者のモチベーション向上のため、レビューや☆☆☆→★★★をしていただけると幸いです。
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