第6話 休暇
キッチンには、ルーナとクロエがエプロンをしながら料理しているところでお互い目が合い
「「おはよ~」」
「おはよ」
「今日の朝食は楽しみにしていてね!」
「あぁ」
俺はダイニングテーブルに座って、外の景色を眺める。
(本当に綺麗だな)
ランドリアは街並みが綺麗と言う印象だが、エルフの国は、街並みってよりもあたり一面の自然が綺麗な感じだ。
(こんな日々がずっと続けばいいのにな)
心が和む日々が一生続けばいいと思うが、そんなことは無理な話。今も俺たちが知らないところでは、モンスターに襲われているところがあるかもしれない。現に、ランドリアにいた際、この場所がモンスターに襲われていた。
だからこそ、俺たちの目的である助けられる人は助けていきたい。そう思いながらも今の時間を楽しんでいるとクロエがモジモジとしながらこちらに近寄ってきて
「はい......。口に合うかわからないけど」
「ん? クロエが作ったの?」
「うん。ルーちゃんみたいに料理は得意じゃないけど......」
「そんなの関係ないよ。クロエが作ってくれただけで味なんて関係ないよ」
味なんて関係ない。料理を一生懸命作ってくれたなら、味なんて関係ない。だが、クロエは
「......。お世辞は良いから早く食べてみて」
「あぁ」
クロエとルーナに見られながら、目玉焼きを一口食べる。
(!?)
普通においしいじゃないか! クロエの表情を見ていたから、もっと変な味がすると思っていたが、そこらへんで出される料理ぐらいはおいしかった。だから本音をきちんと伝える。
「おいしいよ」
「本当!!」
クロエは満面の笑みでこちらに向けてきた後、ルーナの手を握りながら喜び始めた。するとルーナも
「クーちゃんよかったね!!」
「ルーちゃんのおかげだよ!!」
そう言いながら二人はわき合い合いと話していた。
(ん?)
今なんて言った? クーちゃんにルーちゃん? 昨日までお互い呼び捨てだったのに、あだ名で呼び始めたのか?
「二人ともいつの間に仲良くなったの?」
「昨日の夜話して仲良くなったんだ!!」
「うん」
「あ~。そうなんだ」
まあ仲良くなったならいいけど、せっかくなら俺も話に混ぜてほしかったな。
「じゃあ食べよっか!」
「うん」
「あぁ」
その後、三人で朝食を済ませている時ルーナが
「それでメイソンは昨日の夜何かあった?」
「え?」
「いや、精霊王の湖に言ったからさ」
「あ~。ルーナが言っていた通り、加護をくれる神と会えたよ」
すると、二人は驚いた表情でこちらを見てきた。そして
「それでどうだった?」
「まあ、身にはなったかな?」
略奪の使い方を教わったなんて言ったところで、二人にはあまり関係ない事だし、軽く反応した。
「よかった!!」
「ありがとな」
「うん! じゃあ今日はどこに行こうか~」
するとクロエがハッとした表情をしながら
「あ、一日でいいから私の国にも来ない?」
「私は良いよ。あの時以来行ってないしね」
「そうだな」
「やった!! じゃあもう少しここで休暇を取ってから狐獣国に行こ!!」
「「うん」」
その後、数日間ルーナに連れられながらエルフの国の観光名所を見物して、最終日に王宮に向かった。そして、王室に入るとエリクソンさんとユミルさん、ルッツがその場に居て、お別れの挨拶を言ったところで
「メイソン兄さんたちには伝えなくちゃいけないことがある」
「ん? どうした?」
すると、ルッツが真剣な顔をしながら
「前にも伝えたと思うけど、魔族は世界征服しようとしている。そしてそれはもう始まっている」
「え?」
もう、魔族が世界征服している?
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