第3話 エルフの国の復旧
クロエと俺が呆然としていると、ルーナが
「あれ? 何かまずいことでも言っちゃった?」
「いや、精霊王の湖って言っていいことなのか?」
「あ~。別に二人には言ってもいいよ。それに同種族のみんな知っていることだしね」
「そ、そう。ならいいけど」
まあ、ルーナがそう言うならいいけどさ。それに精霊王の湖ってことが、エルフの中では認知されていることなら大丈夫か。
「じゃあ準備が終わったら、精霊王の湖に行こうか!」
「「うん」」
「きちんと湖に入る洋服もって行ってよ!」
「あぁ」
俺は
「じゃあ行こっか」
「あぁ」
「うん」
そしてルーナの後について行くように屋敷を後にした。エルフの国を見回しながら歩いていると、前来た時に比べて色々な建物が建築されていた。
(あの時と比べて、復旧しているな)
まあそりゃあそうか。あの時はモンスターたちを押し返して間もなかったから、当然と言えば当然か。そう思いながらもあたり一面を見まわしていると、あの時とは違ってみんな笑顔であった。
(本当によかった)
ルーナの方を見ると、満面の笑みを浮かべながら少し瞳に涙がたまっていた。俺がルーナの方を見ていることに気付くとハッとした表情をして、顔を赤くしながらそっぽを向いて
「あ~。先行こっか」
「あぁ」
「うん」
そしてルーナが早歩きで先に行ってしまったところで
「ルーナの気持ちもわかるな~」
「俺は何とも言えないかな」
クロエはルーナと一緒で、王族のため気持ちが分かるのかもしれない。だけど俺は違う。助けた国だから復旧していたら嬉しいし、もっと頑張ってほしいとも思う。それに母国であるわけでもないし、ましてや王族でもない。
俺の視点とルーナやクロエが見ている視点は違う。だから素直に気持ちがわかるなんて言えなかった。でも、今後は変わるのかもしれない。俺は世界中で困っている人を助けていくと決めたのだから。
★
そこから三十分程歩いて、ルーナが言っていた通り、綺麗な湖を見つける。
(ここが精霊王の湖か)
すると、ルーナが湖を指さして
「ここが精霊王の湖だよ!」
「「おぉ~」」
今まで見て来た湖とは少し雰囲気が違うのを感じた。何て言うか、空気? が違う気がする。そこでふと思い、ルーナに質問をする。
「ここって何する場所なの?」
「え~と。言い伝えだと加護持ちの人と加護してくださっている方を繋ぎ合わせる場所って言われているよ」
「「へ~」」
(繋いでくれるか)
じゃあ俺も、何度か聞こえた声の持ち主と話すことが出来るのかな?
「まあ、やりたくてできることじゃないから、湖で遊ぼ!」
「え? いいの」
「うん! 子供の頃はよく遊んでいたから! クロエ行こ!」
「わかった!」
そして、ルーナに言われた水着に着替えて二人を少し待つと、木の陰から水着姿のルーナとクロエが出てきた。
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