第11話 リーフとの戦闘


 ロンドは困惑した表情になりながら


「リーフさん、何を言っているんですか?」

「まだ気づいていないんですか? あなたは私に利用されたんですよ」

「え?」

「今回スタンピードを起こったのもロンドが居たおかげですよ。本当にありがとうございます」


(ロンドが居たおかげ?)


 リーフさんは何を言っているんだ? すると、ルーナの近くによって


「あなたがメイソンくんたちと遺跡に行ってくれたおかげで、モンスターをスムーズにランドリアへ向かわせることが出来ました」

「......」

「そして、スタンピードに乗じてこの子を捉えるのも簡単でした」

「な、なんでそんなことを」


 ロンドは絶望した顔をしながらリーフさんを見つめていた。


「なんでって、あなたが雑魚だったからに決まっているじゃないですか。もっと頭を使っていたり、安直に行動さえしなければもっとてこずっていましたけどね」

「クソが~」


 ロンドはリーフさんに向かって、攻撃を仕掛けた。だがリーフさんは難なくかわして、ロンドの腹部を殴った。すると、ロンドは壁にぶつかって血を流す。


「雑魚はそこに座っていてください。あなたよりよっぽどそこにいるメイソンくんの方が強いのを気づいていないんですか?」

「......」

「あなたがメイソンくんに少しでもダメージを与えてくれていれば簡単でしたが、しょうがないですね」


 そう言って、俺に攻撃を仕掛けてきた。


(!?)


 エルフの国で戦った魔族と同等の速度でこちらへ近寄ってきて、避けるのに一歩遅れる。そして、肩に激痛が走る。


(いてぇ......)


 すると、リーフさんが俺に言ってくる。


「メイソンくん、こちらへ来ませんか?」

「え?」

「だから魔族にですよ。人族は終わりです。こんな勇者に希望をもっているバカばかりです」

「断る」


 リーフさんが言っている意味が少し分かる。こんな奴に希望を持っている人は多い。だがそれは、こいつが勇者だからだ。


(希望をもって何が悪い!)


「そうですか。それは残念です」


 そう言うと、俺に斬りかかってきた。俺は、魔剣グラムに風を付与させて、その攻撃を防ぐ。そしてロンドに向かって言う。


「ロンド! 一緒に戦おう」

「......」


 だがロンドは放心状態になっていて、立つ気配がしなかった。


(クソ)


 なんでこんな時に戦いもしないんだよ! 俺は略奪をリーフさんに使うが、魔族の時同様効かなかった。そして、リーフさんがこの場から去ろうとする。


「待て!」


 俺は黒い渦に入りながらリーフさんに向かって斬りかかる。すると、リーフさんの腕が斬り落としたのと同時に違う場所に転移させられた。



 目を開けると空は紫色で、あたりにある草や木が枯れ落ちていた。


「クソが! お前、私の腕を」

「ルーナを返せ」


 その時、声が聞こえた。


{あいつの心臓めがけて略奪を使って}


(なんの声だ?)


 そう思いながらも、言われた通りに略奪を使用すると、スキルを奪うことが出来た。


・奥義(流れ)

・高速

・身体強化(中)

・水斬り

・限定解除


 スキルを奪った途端、リーフさんが地団駄をしながら叫ぶ。


「クソ! まだ大丈夫って言っていたじゃないか!」

「......。早くルーナを返せ」


 俺は高速と身体強化(強)を同時に使い、魔剣グラムに風と火を付与させて攻撃を仕掛けると、リーフさんの腹部に刺さる。そして、よろめきながら後退していく。


「一旦引くか」


 そう言って、黒い渦でこの場から去って行った。俺はすぐさまルーナの元へ向かい、体を揺さぶり始める。


「ルーナ! ルーナ!」

「......」

「ルーナ!」


(目を覚ましてくれ.......。頼む)


 その後もじっとルーナのことを眺めながら目を覚ますのを待つ。そこから数分程経ってそっとルーナの目が開き始めた。


「メイソン?」

「ルーナ!」


 勢いよくルーナを抱きしめる。


「わ、私......。ごめんなさい」

「無事でよかった」


 すると、ルーナは辺りを見回して言った。


「ここはどこ?」

「多分、魔族領だ」

「やっぱり......」

「え?」


 やっぱりってどう言う意味だ? なんでわかる?


「ルッツの魔力が感じる」

「!?」

「私は大丈夫。だから行きましょう」

「でも」


 まだ目を覚まして間もないのにルッツ様を助けに行くのはと、ふと思った。


「もうここしかないの!」

「あぁ。わかった」


 そして、俺たちは奥に見える城に向かって歩き始めた。

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