第12話 リーフの魔人化


 城の方面に歩き始めて数十分程度経ったところで


「メイソンはやっぱり後悔している?」

「ん? なんでだ?」

「だって私があの時、スタンピードに参加するなんて言わなければ」

「最初は後悔してたよ」


 すると俯きながら


「ごめんなさい」

「いいんだ。今目の前にルーナが居るんだから」


 ルーナの言う通り、最初は後悔したさ。あの時、俺がランドリアから逃げようときちんと言っていれば今みたいにはならなかった。でも、ルーナは生きている。それに......。


「言い方は悪いが、今回ルーナが連れ去られたおかげでルッツ様の居場所が分かったと思えばよかったんじゃないか?」


 結果論になってしまうが、今まで情報が無かったルッツ様の居場所が分かっただけでも、今回スタンピードに参加してよかったのかもしれない。


「うん。でも助けてくれてありがと」

「あぁ。ここでルッツ様を絶対に助けよう」

「うん!」


 そして、俺たちは目の前にある城に向かった。



 城へ向かっている最中、モンスターと何度か戦ったが、リーフさんから奪った水斬りが思いのほか強くて、あっさりと倒すことが出来た。


(本当に強いな)


 魔剣グラムに水の付与をしている時は、剣の周りに水の衝撃波が出て一方向にしか攻撃ができていなかったが、水斬りは剣を振り下ろすだけで水玉が出てきて全方向に攻撃することが出来ていた。


(魔剣グラムに水の付与をしつつ水斬りをしたら......)


 そう考えるだけで、計り知れないほどの力が出てくるんだと想像が膨らむ。その時、ルーナが


「それにしてもモンスターの数が少ないね」

「そうだな」


 ルーナの言う通りモンスターが少ないが、多分スタンピードに参加しているモンスターがランドリアに行っているおかげで、モンスターの数が少ないんだろう。


「このままだったら後少しでつきそうだな」

「うん」


 そして話していた通り、一時間もしたら城の入り口にたどり着く。


「開けるぞ?」

「うん」


 俺は、そっと扉を開けると左右には銅像がありつつ赤いじゅうたんが敷いてあり、道を示しているようであった。


「進もう」


 ルーナが頷いたのを見て、徐々に赤いじゅうたんが敷いてある方向へ進んでいく。


(それにしてもここが本当に魔族の城なのか?)


 もっとまがまがしい内装をしていると思っていたが、人族の城の作りにそっくりであった。魔族の城だとわかる感じだと、モンスターの石像が左右に置かれているぐらいだ。


 その時、後ろからロンドが転移してくる。


(お前もこっちに来たのか......)


「......。俺も一緒に戦う」

「そうか」


 この城に来てしまった以上追い返すこともできないので、一緒に進み始める。するとロンドが


「ルーナ......さん。本当に俺のせいで申し訳ない」

「......。それは終わってから話しましょう」

「あ、あぁ」


 そして突き当りの部屋にたどり着くと、そこは普通の部屋の扉とは違い、真っ黒に塗装されていた。


「開けるぞ」

「あぁ」

「うん」


 全員が武器を取り出したのを確認して部屋の中へ一斉に入る。するとそこには先程片腕を斬り落としたリーフが、椅子に座っていた。


「捕獲対称がこちらに来てくれるのは嬉しいですね」

「......。ルッツはどこ!」

「あ~。それは私を倒したら分かりますよ」


 それを聞いた瞬間、ロンドがリーフに斬りかかったが、軽くかわされてしまう。


「あなたの攻撃なんて聞きませんよ」

「じゃあ俺なら?」


 ロンドが攻撃を仕掛けた瞬間、俺は高速を使ってリーフのそばに行っていたので、ロンドの攻撃をかわされた瞬間に攻撃を仕掛ける。すると、リーフの腹部を軽くだが切り裂いた。


「痛てて......」


 そう言いながらも全然痛そうではなかった。


「もう一度聞きます。メイソン、こっちの世界に来ませんか?」

「行かない」

「そうですか......。残念です。あなたなら仲間になれると思ったのですが」


 すると、リーフがある液体を飲むと、徐々に人間の形とは変わっていき、リーフの体が魔人化した。


「やっと私も劣等種である人族からおさらばです」

「......」

「的が居ますし、試しに使ってみますか」


 そう言って、俺たちに攻撃を仕掛けて来た。

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