第15話 魔族との戦闘


 今までスキルを奪えないことなかった。それなのになんで......。すると魔族は俺を睨みつけながら問いかけてきた。


「お前、今何をした?」

「......」

「まあいいか。雑魚は死ね」


 そう言って、俺に向かって氷刃アイス・ブレイムを放ってきた。よけきれないと思い、魔剣グラムでそれを斬り落とす。


(お、重い......)


 今まで受けてきた攻撃の中でも格段に威力が違かった。


「これを回避するか。へぇ」


 すると、俺の目の前に瞬間移動してきて殴りかかってくる。うまく避けることが出来ず、先程デュラハンから受けた腕に攻撃を食らってしまい、激痛が走る。


 まだ自動回復オートヒールを使っているため、徐々に回復はしているが、それを待ってくれるはずもなく、魔族は畳みかけてくる。


 俺は高速を使って後ろへ後退したが、それもわかっていたかのように先読みをして俺の目の前に立ち、殴られた衝撃で木にぶつかる。


「ア......」

「まだ生きているのか。君、そこそこ劣等種の割には強いんだね」

「......」


 そう言いながら魔族は俺に徐々に近づいてきた。俺は最後の力を振り絞って、魔剣グラムに魔力を込める。すると、グラムの周りに火と風の付与がされた。


 それを見た魔族は一瞬にして距離を取って後方へ下がった。


「お前、今何をした?」

「わ、わからねーよ」


 そう答えながら、スキル、高速で魔族の目の前に一瞬でたどり着き、斬りこんだ。魔族は一瞬避けるのが遅れて、腕を斬り落とした。


 魔族は少しだけいたそうな素振りをしたが、すぐに斬り落とした腕を拾い上げて、くっつけた。そして、俺を嘲笑うかのように言った。


「一瞬かったと思っただろ。でも魔族は劣等種とは違って斬り落とされてもすぐにくっつけることが出来るんだよ」

「......」


 その時、後ろから足音が聞こえた。


「「メイソン!」」


 ルーナとクロエが俺のところへ駆け寄り、すぐさまルーナは完全守護プロテクションを使い、あたり一帯に結界を張った。それに続くように俺に完全回復パーフェクト・ヒールを使い、痛みが無くなるのが分かった。


「モンスターたちは?」


 俺は当たり一面を見ながらそう言った。


「親衛隊の人たちが来たから大丈夫だよ」


 ルーナはそう言いながら魔族の顔を睨んだ。すると、魔族はルーナを見て嬉しそうに言った。


「お目当ての奴が来てくれるのは助かるな」


(え?)


 今なんて言った? 魔族はルーナを狙っているのか? ルーナとクロエも魔族の言葉に驚いていた。すると、魔族は俺とクロエに殺意を向けてきた。


「じゃあ後の二人は殺しますか」


 魔族はそう言って、完全守護プロテクションを一撃で破り、俺とクロエに攻撃を仕掛けてくる。


 クロエは、その攻撃を受け止めようとしたが、クロエの思っていた威力より強く、後方へ吹き飛ばされてしまう。


(やばい)


 俺はすぐさまスキルを使い、ルーナを抱きかかえてクロエの方へ移動した。今ここでルーナが捕まってしまうと魔族は逃げ去ってしまうかもしれない。そうなってしまったら、追い着くことはできないだろう。


「君、スキルが豊富だね」


 魔族が話しかけたタイミングでもう一度、略奪を使用するが魔族には聞かなかった。すると、魔族は納得したような表情で言った。


「君、もしかして僕のスキルを奪おうとしている?」

「!?」


 つい顔にでてしまった。その光景を見た魔族は


「あー。そう言うことね」


 その時、ルーナが魔族に怒鳴る。


「ルッツはどこなの!」

「そう言えばそんな奴もいたな。あいつは一応はまだ生きているぞ」


 それを聞いて、ルーナは一瞬ホッとした表情をしたが、すぐに我に返り、もう一度問いかけていた。


「だからルッツはどこなの?」

「君たちのそばにいるはずだよ?」

「え?」


 そう言った瞬間、魔族はルーナに一直線に向かってきて、攻撃をしかけてきた。それを俺はグラムで防ぐ。


「あ! 良いこと思いついた。お目当ての存在。確かルーナだっけ? それと君が着いてきてくれればモンスターは引かせるよ?」

「は? なんで俺まで?」


 ルーナならともかく、俺まで一緒に来いと言われる理由がわからなかった。


「君、まだわかっていないんだね。君は魔族と共存できる力を持っているんだよ」


 その言葉を聞いて、ルーナとクロエは俺の方を見て来た。


(俺が魔族と共存できる?)

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