第14話 魔族との出会い


 俺は声が震えながら二人に言った。


「ふ、二人とも......。俺はあいつと戦うから、二人はスケルトンやゴブリンを頼む」

「で、でもそれじゃメイソンが」

「そうよ。あいつやばいわ......」


 流石に二人も感ずいているようであったが、今はこの選択しか思い浮かばなかった。


「わかっている。だけど、もうこれしかない」


 ルーナは支援職であるため、現状デュラハンと戦えるのは俺とクロエだけだ。そして、ハッキリ言って今のクロエより確実にデュラハンの方が強い。何なら全スキルを使った俺より強いかもしれない。


 だけど、ここにいるのはデュラハンだけではない。デュラハン以外にもたくさんのモンスターが居る中で、俺とクロエがデュラハンと戦ってしまったらルーナは確実に死んでしまうだろう。だからこれが最善の手な気がした。


「......。わかったわ」

「できる限り援護はするから、最悪後方へ下がって」

「あぁ」


(ここで無茶しなくていつするんだ)


 俺は、デュラハンが居る方向へと向かう前に周辺に居るモンスター全員に略奪を使用した。


 すると、頭の中にものすごい数のスキルが入ってきて頭痛が起きる。


(はぁ、はぁ......)


 略奪を使用したスケルトンやゴブリン、ウルフの使っているスキルはすべて俺が所持していたが、一つスキルが進化した。


・俊足→高速


 そして、モンスターたちが弱まったところで、炎星アトミック・フレアを放ち、モンスターを一掃したところでデュラハンの目の前にたどり着いた。


(う......)


 目の前に立っているだけで、体が重い。俺はすぐに、デュラハンへ略奪を使用した。


・重圧

・闇耐性


 少しは弱まったかなと淡い期待を持っていたが、体が重いのが無くなっただけで、デュラハンは何とも感じていなかった。


 そして、馬に乗ったデュラハンは槍で俺に攻撃を仕掛けてくる。それを、剣で受け止めるとヒビが入ってしまった。


(え?)


 デュラハンは俺に連続で突き刺して来る攻撃を仕掛けてきて、防戦一方になる。その時、後ろからゴブリンマジシャンが火玉ファイアーボールで俺に攻撃を仕掛けてくる。


(やばい)


 そう思ったが、ルーナが俺に守護プロテクトを使ってくれて火玉ファイアーボールを回避する。そして俺はゴブリンマジシャンに対して略奪を使いスキルを奪う。


 だが、デュラハンはそれを見越していたかのように俺の背後から攻撃をしてきて、槍が腕に刺さる。


「アァァァァ」


 痛みに耐えながらデュラハンと一旦距離を取り、自動回復オートヒールを使って徐々に傷を治す。


 その後も、デュラハンの攻撃を防ぐので精一杯であったが、とうとう剣が壊れてしまった。


(クソ)


 使えるかもわからないし、慣れてもいない剣を本当は使いたくはなかったが俺は止む追えず、腰に付けている魔剣グラムと手に取る。すると、剣に魔力がこもっているのを感じた。


 俺は剣に従うように魔力を込めると、剣の周りが魔力でおおわれた。そして、デュラハンの槍とぶつけ合うと、一瞬にして槍が粉砕した。


「は?」


 こんなに強いのか? はっきり言って目の前の光景が信じられなかった。槍を壊されて、よろめいているデュラハンに対して斬りかかるが、うまく避けられて、後方へ逃げようとした。


「に、逃がすか!」


 スキル、高速を使ってデュラハンの目の前に一瞬で着いた。そして、デュラハンの載っている馬を殺して、デュラハンが落ちてくる瞬間を逃さず、倒した。


 一瞬ホッとしたが、スケルトンたちが俺に向かってくるのが見えたので、すぐに高速を使ってルーナたちのところへ戻ろうとした時


(え?)


 デュラハンの比ではないほどの殺気がこちらへ向かってきているのが分かった。そして、俺は瞬時に魔剣グラムを手に取り、戦闘態勢に入る。すると、そこには、頭の上に二本の角が生えた魔族がこちらへ歩いてきていた。


「あれ? なんでこんなところに劣等種がいるんだ?」

「......」


 すると、魔族は当たり一面を見ながら尋ねてくる。


「お前がデュラハンを倒したのか?」

「......」

「答えろ!」


 そう言いながらまがまがしいオーラを向けてきた。そして、オーラが収まった瞬間、魔族に略奪を使った。


(え?)


 なぜかスキルが奪えなかった。

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