第13話 モンスターの押し寄せ
「うん。ランドリアにいた時、知り合いからここが魔族に襲われているって言う情報を聞いて」
「そ、そうか。でも今のところ見ていない。だが、このことも踏まえてモンスターの同行も確認してみる」
国王はそう言って、騎士たちに指示を出した。そして、俺たちの元へやってきて、言われる。
「言うのが遅れてしまって済まない。ルーナの父親であり、この国の国王であるエリクソンだ。隣が妻のユミル。この度はルーナと一緒に居てくれて本当にありがとう」
「いえ、こちらこそルーナにはいろいろと助けていただいているので」
すると、国王はルーナの顔を見ながら少し笑みを浮かべて
「そうか。良い仲間ができたんだな。名前はえっと」
「メイソンと言います」
「クロエです」
「メイソンくんとクロエさんには今後、迷惑をかけてしまうだろう。だから先に謝っておく。本当に申し訳ない」
国王はそう言うと、王妃と共に頭を下げてきた。
「あ、頭を上げてください! 俺はルーナを助けたいからここに来たわけで、お礼を言われる筋合いはないです」
「そうか......」
そこで、国王はルーナの方を一瞬チラッと見た後、何かを言おうとしたが、言うのをやめた。その時、ルーナが国王に言った。
「あ、そうだ。お父さん! あの書物を見してくれない?」
「ん? なんでだ?」
「メイソンがもしかしたら本に書かれているスキルを使っているかもしれないから」
すると、国王は俺の方へ向かってきて、尋ねてきた。
「メイソンくん、きみのスキルとはなんだい?」
「略奪と言うものですが......」
国王は俺が言ったのを聞くと、なぜか驚いた顔をしていた。そして、少し考えたそぶりを見せた後
「メイソンくん、それは「国王様!」」
突然、王室の中にエルフの人が入ってきて国王の会話を遮った。
「なんだ?」
「周辺にモンスターの群れが押し寄せて来ています。数にしておおよそ200程」
「それは本当か?」
「はい」
(200体のモンスター......)
ここに居る人達全員が、それを聞いて絶望に満ちた。200体ほどならあまり問題ないが、今は違う。親衛隊たちは各地にいっているため現状、国は人でブ足である。それに加えて今の街の雰囲気から、モンスターが押し寄せていることを知った国民たちはパニックに陥るだろう。
そしたら、国民たちはモンスターに殺されてしまう可能性が増してしまう。それはつまり、パニックになった国民を守りながら総勢200体のモンスターを討伐するということ。それがいかに難しいことか。
「今すぐ、兵を出せ」
「ですが、今の状況でこの数を倒すことは......」
流石に騎士も現状を理解しているようで、不安を顕わにしていた。それを見た俺は、二人に言う。
「ルーナ、クロエ。俺たちも行こう」
「えぇ」
「うん」
「国王様、俺たちは前衛でモンスターを倒してきますので、モンスターが国へ向かったらお願いします」
俺はそう言って、王室を後にしようとすると国王に止められる。
「ちょっと待て。ルーナたち3人で行っても何もできないだろ。200体はいるんだぞ?」
「わかっています。ですがここはいかなければ」
「......。それが君の選んだ道か」
「はい」
すると、少し納得した表情になりながら言った。
「では、少し待て」
そう言って、王室の後ろに飾られている剣を渡される。
「魔剣グラムだ。多分メイソンくんなら使いこなせるだろう」
「え? いいのですか?」
「あぁ。魔剣グラムはメイソンくんの力になってくれると思うから」
「ありがとうございます」
そして、俺たちは王室を後にした。その時、国王がボソッと何かを言ったが聞き取れなかった。
「俺は伝説の始まりを見ているのかもしれない」
ルーナの道案内の元、モンスターが押し寄せていると言われている森林へと向かった。すると、案の定そこには、スケルトンやゴブリンなどが大勢いた。
ルーナの
すると、あたり一面に居たモンスターもろとも俺たちに炎の雨が降り注いできた。
(やばい)
今の
スケルトンやゴブリンなどが徐々に死んでいくのが分かったが、それでも数えきれないほどの数のモンスターが存在していた。
そこで俺は死者蘇生を使い、先程殺したモンスターの死体を蘇らせた。その時、モンスターの後方からまがまがしい殺気がこちらへ向いていることに気付いた。
(何だこれは......)
そして数分経ったところで、後方からデュラハンがこちらへやってきた。
(あれはやばい)
俺の体が反射的にそう反応していた。
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