第12話 エルフの国の危機


 ゴブリンにエルフの女性が殺されそうになっているところを、ルーナが守護プロテクトを使い守ったのと同時にクロエが真っ先に女性の元へ駆け寄った。それに続くように俺も俊足を使いクロエの後を追う。


 クロエが一体のゴブリンを斬り倒したが、違うゴブリンが背後からクロエを攻撃した。それを俺が受け止め、斬り殺す。そして、火玉ファイアーボールを使い、最後のゴブリンを殺した。


「大丈夫ですか?」

「ル、ルーナ様」

「早く避難して! 私たちが時間を稼ぐから」


 クロエがそう言いながら村へ入って行ったため、俺とルーナも追う形で村へ入って行った。


(ひどい)


 あたり一面が、エルフの死体だらけであった。俺たちは、生存者がいないか探しながら歩いていると、奥の方から戦闘音が聞こえたので、すぐさま駆け寄る。


 すると、そこにはエルフの男性一人が子供二人を庇いながら二体のオークと戦っていたので、俺はオークに略奪を使った。


・身体強化(中)

・重力(小)


 オークは少し驚いた表情をした。それの一瞬をクロエは逃さず、一体のオークの首を斬り落とした。俺も続くように、オークの足元を斬り裂いて、膝を落とさせる。そして、風切エア・カッターを使いオークを倒しきった。


 オークが倒れる瞬間を見た子供たちは、エルフの男性の元へ駆け寄って泣き始めた。


 俺たちもエルフの男性の元へ駆け寄ると、驚いた表情でルーナを見ながら言った。


「ルーナ様! なんでこんなところへ」

「エルフの国が魔族に襲われているって情報を聞いて」

「.......。そうですか。ですが、ルーナ様、早く逃げてください」


 すると、血相を変えながら答える。


「それは無理よ。私はこの国の第一王女なのよ? 民を見捨てて逃げるなんてことできるわけないじゃない!」

「ですが......」

「あなたたちは安全な場所に逃げなさい。私たちは他の人たちを探すから」

「はい」


 ルーナはそう言って、村で生き残りのエルフを探し始めた。不幸中の幸い、エルフの生き残りはそこそこ居て、安全な場所へ避難させる指示を出すと、後ろから重装備をしている男性たちがこちらへやってきた。


「ルーナ様?」

「ディック」


 騎士である方々は、ルーナに頭を下げていた。そしてディックさんが疑問そうに言った。 


「なんでここに」

「そんなの助けに来たに決まっているでしょ! それよりもお父様とお母さまは?」

「現状、王都は無事ですので大丈夫です」


 すると、ホッとした表情になりながら


「よかった」

「ルーナ様は早く王都に向かってください」

「でも......」


 ルーナは当たり一面を見ながら不安そうにしていた。


「ここは私たちが何とかします。ですので」

「わ、分かったわ。ディック、お願いね」

「はい」

「メイソン、クロエ行きましょう」


 俺たちはルーナについて行く形で王都へ向かった。



 道中、何度もゴブリンやコボルト、そしてトレントにスケルトンなどと接敵したが、何とか一時間ほどかけて王都にたどり着き、中へ入った。


 あたりを見回すと、国民たちは不安そうな表情をしながら外を眺めていた。


(そうだよな......)


 俺だって、モンスターが押し寄せてきたら不安になる。冒険者じゃなければなおさらだ。


「後少しで王宮につくから」

「あぁ」


 お互い無言の状態になりながら歩いていると、騎士の一人と出くわす。


「ルーナ様!?」

「お父様とお母様に合わせて」

「はい」


 騎士のエルフが道案内して王宮の中へ入ると、メイドや騎士の方々が驚いた表情でこちらを見て来ていた。そして、俺たちは王室に入ると、ルーナにそっくりな男性と女性が座っていた。


「ルーナ!?」

「お父さん、お母さん」


 ルーナの顔を見て、二人はホッとした表情になりながらルーナに駆け寄り抱きしめた。


「無事でよかった」

「うん。それよりも今どうなっているの?」

「わからない。でもなぜか、モンスターが一斉に攻撃を仕掛けて来た。こんなことできるのは.......」


 するとハッとした顔をして、ルーナが言った。


「魔族ってここに来ていない?」

「え? 魔族だって?」


 その言葉を聞いて、ルーナの両親は険しい顔に変わった。

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