第3話 獣人族との出会い


 男の子に攻撃をしようとしたウルフに対して、火玉ファイアーボールを放ち、一匹のウルフを倒す。そして、すぐさま男の子のところ前に立ち、もう一匹のウルフも斬り倒した。その時、最後のウルフが火玉ファイアーボールの煙から出てきて、俺に攻撃を仕掛けてくる。


(やばい......)


 男の子を抱きしめて守ろうとした時、ルーナの守護プロテクトのおかげでウルフが怯み、逃げようとした。それを俺は見逃さず、先程ウルフから入手した俊足を使い、ウルフの目の前に行き斬り倒した。


 ルーナが俺たちの元へやってきて、男の子の目線に座って話しかけた。


「大丈夫?」

「あ、ありがとうございます......」


(え?)


 俺は男の子をじっと見つめたら、人間じゃないことに気付いた。


(獣人族?)


 狐みたいな耳をしていて、尻尾が付いていた。


「あの、もしよかったら僕が住んでいるところに来ませんか?」

「いいの?」


 ルーナは首を傾げながら男の子に尋ねていた。はっきり言って、今の俺たちには願ったりかなったりであった。なんせ、霧が出ている森林を動くのは危ない。


「はい。村の人たちも喜んでくれると思います」

「じゃあ、お言葉に甘えて行かせてもらおうかな」


 すると、男の子は笑顔になりながら、ルーナと俺の手を握って道を案内し始めた。そして、十分ほど経ったところで、小さな村を見つけて、中に入ると一人の女性を見た瞬間、男の子は泣きながら女性に抱き着いた。


(お母さんなのかな?)


 そして、俺たちも男の子について行くと、男の子が女性に説明をし始めた。


「ママ! この人たちが僕を助けてくれたんだ」


 すると、男の子のお母さんは、男の子の頭をなでながら頭を下げてお礼を言った。


「本当に息子を助けてくれてありがとうございました」

「はい。本当に無事でよかったです」

「では、私の家に入ってください」


 そう言われて、女性について行くように、村を歩き始めた。俺は、あたり一面を見ながら歩いていると、一つ気が付いた。


(住民全員が獣人族だ)


 そう、人族やエルフなど、他種族が居ない村であった。


(こんな村があるんだ......)


 そして、女性が止まると大きな家を指さした。


「ここが私たちの家です」

「あ、はい......」


(え? でかくない)


 歩いてきて見たすべての家は、普通の一軒家と言う感じであったが、女性が指さしたのは、あまりにも大きすぎる家であった。いや、家と言うより屋敷だと思った。


「どうぞ中へ」

「はい」


 俺とルーナは驚きながら中へ入ると、そこには執事とみられる男性が立っていた。


「おかえりなさいませ」

「はい。お客様ですので、丁重にお願いします」

「わかりました」


 すると、男の子とそのお母さんは奥の方へ行ってしまい、俺たちは別室に案内されて中へ入った。


「奥様が来るまで、ここで寛いで居てください」

「あ、ありがとうございます」


 執事の男性は、部屋を出て行ってしまった。すると、ルーナは驚きながら俺の肩を叩いてきた。


「ねぇ、ここってどこなの?」

「俺もわからない」

「そうだよね......。それにしてもここすごいね」

「あぁ」


 ルーナの言う通り本当にすごい。外から見た家は、宿屋だと思ってしまうぐらいでかくて、今いる部屋は内装もすごいが、おいてあるものすべてが高そうに見えた。


 俺が圧倒されていると、ルーナが言った。


「メイソンがこんなに驚いているなら、私の実家に戻ったらもっと驚くと思うよ!」

「そ、そっか」


(そう言えば、ルーナもお姫様だった......)


 俺が驚いているのと、ルーナが驚いているのは違うとそこで気づいた。俺は家のすべてに驚いているが、ルーナは内装や設計などに驚いているのだと思う。


 その後、ルーナと他愛の無い話をしている時、男の子が中へ入ってきて、俺とルーナの手を握って言った。


「こっちに来て!」


 俺たちは、男の子に連れていかれながら歩いていると、大きな扉の前になった時、

 男の子は手を放して扉を開けた。


「パパ、ママ連れてきたよ」


 そう言いながら、男の子はお父さんとお母さんの元へ駆け寄っていった。そして、俺たちも中へ入ると、男の子のお父さんがしゃべり始めた。


「この度は、エークを助けてくれてありがとう」

「いえ、当然のことをしたまでですので」


 すると、男の子の両親が笑顔になりながら言った。


「エークを助けてくれたお礼として、この国の長である私が、できる限りのことに力を貸したいと思っている」

「え......?」


(長って......。もしかして国王ってこと?)

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