第2話 クエストの障害


 ルーナと共にDランク冒険者になれたことなので、少し難易度の高いクエストを受けようと受付嬢に相談をする。


「あ~。ならこれとかどうですか?」


 受付嬢にそう言われながら一枚の紙を渡された。


・レッドウルフの討伐


「これですか......」

「はい。レッドウルフとは、ウルフの亜種であり、風属性に加えて火属性の魔法を使ってきます。ですが、今のお二人なら倒せると思いますので」


 俺は、ルーナの方を向くとクエストの紙を見ながら頷いていた。


「受けます」

「わかりました。ですが、もし危険だと判断したら逃げてくださいね」

「はい」


 こうして、俺とルーナはクエストを受注して、レッドウルフが生息していると記されていた森林へ向かった。


「この前のリッチ戦から思ったけど、メイソンが前衛で私が後衛支援ってことでいい?」

「あぁ。その方がいいな」

「よかった」


 まあ、ルーナがこういわなくてもそのつもりであった。ルーナはサポート系統の魔法を使うのに対して、俺は前衛職に加えて魔法も使える。なら普通に考えて、俺が前衛、ルーナが後衛になるのは当たり前のことだ。



 そして森林を進んでいると、数体のウルフとコボルトに接敵した。俺はルーナの近くにより、小さな声で言う。


「俺が最初に火玉ファイアーボールで攻撃して、前に突っ込む。その時、守護プロテクトを使って守ってほしい」

「わかったわ」


 話が終わり、俺は狙いやすいウルフに向かって火玉ファイアーボールを放ち、一体のウルフを討伐する。それと同時にウルフたちの目の前に出て行った。


 案の定、ウルフは俺に向かって突進してくる。それをさっきルーナへ言った通り、守護プロテクトを使ってくれて守られる。その瞬間、俺は一匹のウルフに略奪を使い、スキルを盗む。


・俊足


(こんなスキルを持っているのか)


 まあ、ウルフと言えば早いイメージがあるからな。そしてウルフが守護プロテクトにあたって、ふらついている瞬間を見逃さず、一匹のウルフの首を斬り落とす。それに続くように、右にいるウルフも同様に切り倒した。すると、ウルフたちが怯み初めて逃げ出して行った。


「ルーナ、ありがとう」

「いいえ。メイソンも強かったよ」

「それにしても、いい連携じゃなかった?」

「そうだな」


 今回初めてきちんとした連携という連携をした割には、上出来の出来だったと思う。特に俺が突っ込んだタイミングで、ルーナが守護プロテクトを使ったタイミングは完璧であった。


「それにしても、ウルフってあんなに弱いんだね」

「そうだな」

「もしかして、略奪を使った?」

「ま、まあ」


 すると、驚いた表情で俺を見てきた。


「よく戦っている最中に仕えたね!」

「あはは」

「それで何を奪えたの?」

「俊足ってスキル」


 そして、試しに俊足を使ってみた。


(!?)


 走る速度が二倍になる感じがした。それはルーナも感じているようで、拍手していた。


「すごい!」

「これは使えるね」

「うん!」

「じゃあ、レッドウルフを探そうか」


 そう言って、俺たちはレッドウルフの探索に向かった。


 一時間ほど探したが、どこもウルフばかりでレッドウルフを見つけることが出来なかった。


「なんでいないんだろう......」

「そうだな。一旦休憩するか」

「そうね」


 俺たちは、休憩がてら雑談をしながら今後の方針を話し合った。そして、に十分ほど休憩を入れたところで、ウルフが俺たちの元へやってきた。


「ルーナ!」

「わかっているわ」


 先程と同様にルーナの守護プロテクトで守られつつ、ウルフを一体ずつ倒して行く。すると案の定、ウルフは逃げて行った。


(あれ?)


 さっきから逃げていく方角が一緒だと思い、ルーナと一緒にウルフを追いかける。すると、そこにはウルフが総勢二百体ぐらい生息していた。


(!?)


 どうなっているんだ? だが、もしかしたらここにレッドウルフは......。そう思ったが、今の俺たちにはこの数は対処しきれないと思い、身を引いた。


「あの数は無理だね」

「あぁ。今回はあきらめるか」

「そうね」


 俺たちは森林を後にしようとした時、あたりに霧が出てきて道を迷った。


(クソ)


 なんでこんなタイミングで......。そう思いながら、ルーナと一緒に歩いていると、小さな悲鳴が聞こえた。


「た、たすけて~」

「「え?」」


 ルーナと顔を見合わせて、すぐさま悲鳴の聞こえる方向へ向かった。すると、そこには小さな村にたどり着く。


 そして、三体のウルフに子供が襲われそうになっているところへ直面した。

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