第7話 リッチ戦


「え?」

「一瞬ゴブリンが挙動不審になりましたよね? それってメイソンが何かやったのかなと思いまして」


 本当のことを言うか迷った。略奪のスキルを持っていると聞いたら、誰だって警戒してくると思った。だけど勇者パーティを追放されたときは、俺がきちんと説明しなかったから追放されたと考えることもできる。だから今回は、きちんとルーナ様に説明しようと決心した。


「......。そうですね。俺のスキルである略奪を使用しました」

「え? 略奪って......」

「はい。多分ルッツ様が使用した宝石ダイヤロックも特有の人物が使用できるものだと思いますので、同じ系統のスキルだと考えてもらえれば」


 ルーナ様が驚くのも無理ない。固有スキルを持っている人は、世界を見ても稀である。でも弟であるルッツ様が、固有スキルらしいのを使用していたというのを聞いていたので、説明をした。


「そうですか。メイソンも固有スキルを使えたのですね」

「はい」

「いいスキルですね」

「え?」


 そう言われるとは思ってもいなくて驚く。異様な目で見られたり、怪訝そうな表情をされると思っていたから。


「だって、固有スキルを持っているというのはすごいことですよ?」

「はは......」


 ロンドにもスキルのことをきちんと説明をすればよかった。でも、昔から荷物持ちとしか役に立たないと言われていたし、他の仕事をしたいと言った時なんて、パーティには不必要だと言われてしまった。


(スキルさえ使えば魔法使いにでも、剣士にでもなれたのに)


 でも、スキルのことを説明したところで、また嘘つき呼ばわりされるに決まっている。「お前は何もできない荷物持ちだと」。


 俺が暗い顔をしていると、ルーナ様は笑顔で俺に言ってきた。


「では、メイソン期待していますよ?」

「はい」


 そして廃村を徐々に進んでいくと、森林と村の間に墓地を発見することが出来た。


「ここですね」

「そうですね」


(空気が重い)


 そう、先程までいた廃村ですら空気が重かったが、ここは段違いだ。


「では、ここからは私の役目ですね」

「お願いします」


(何をするんだろう?)


 すると、ルーナ様は光回復ホーリーヒールを使って、ここら辺一帯の墓地を除霊し始めた。


(!?)


 ルーナ様ってもしかして......。ふと頭によぎった。その後も、墓地を除霊している時、森の方からリッチが現れた。


(なんでこんなところに......)


 そう、リッチと言えば、Dランクモンスターであって、EランクやFランクが受けるようなところにはいないはずだ。それなのになんで......。


 ルーナ様の方を見た一瞬を突かれて、リッチは除霊できていない墓地に向かって魔法を使った。すると、土の中から、骸骨が数体出てくる。


(クソ)


 俺はすぐさまリッチに略奪を使用した。


・死者蘇生

・ドレイン


(......)


 死者蘇生って......。そのスキルを入手した瞬間、胸糞が悪くなった。


(死体をなんだと思っているんだ......)


 こいつは今、死体に対して何とも思わず使用した。それが、どれだけやってはいけないことか。


(これだからモンスターは嫌なんだ)


 そう思いながらルーナ様に言った。


「早く倒しましょう」

「そうね。私がリッチを倒すから、メイソンは骸骨をお願い」

「わかりました」


 ルーナ様に言われるがまま、俺は骸骨たちに剣で斬りかかる。


(今、楽にしてやるからな)


 一体目の頭を斬り落としたが、骸骨の首だけが取れただけで、胴体は俺に向かってきていた。


「こんなのどうすればいいんだよ!」


 骸骨の攻撃をかわしつつ、次どのような動きをすればいいかを考える。


(頭がダメで、骸骨だから心臓は無い......)


 そこで、俺は骸骨の足を斬り落としてから腕を斬り落とした。すると、動くことが出来ない状態になった。


(こんなことしたくないんだけどな......)


 心の中で謝りながら、次々と骸骨の足と腕を斬り落として行き、ラスト一体となったところで、あたり一面が光出した。


(え?) 


 横を見ると、ルーナ様の周り全体に光り発していた。そして、リッチが悲鳴を上げなら消え去っていくのが分かった。それと同時に骸骨たちの動きも止まった。


 俺のところへルーナ様が来ると言った。


「終わりましたね」

「そ、そうですね......」

「じゃあ戻りましょうか」


 廃村を後にしたところで、俺はルーナ様に質問をする。


「ルーナ様。あなたは何者ですか?」

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