大人の威厳

 次に会った時は家の近くの公園だった、どうやら彼女も家が近く、いつもここで遊んでいるらしい。

 俺が2回目に会った時も結局分からせることが出来なかった。次会った時は絶対分からせてやると宣言した時から、この公園でいつも会うようになっていった。

 彼女に宿題を教えたこともあった。「おにーさんさすがに小学校の算数は分かるよね〜?wこれ分かる〜?w」と煽られ、代わりに解いてやったこともあった。

「…でここを下の10の位にかけると答えが出るんだよ、わかったのか?」

 うんうん分かる分かる〜。と余裕の表情で解いていたが、時々詰まることもあって、

「…お前もしかして、ここの問題教えて欲しかったのか?」

「は!?そんなことある訳ないでしょ!おにーさんが分かるかな〜って思って出しただけだし!」

 と、赤面しながら言っていたこともあった。

 またある時は俺の家庭事情を聞いて来たりした

「おにーさんって、家族っているの?wあ、ごめんお1人様だった?w」

「…前に妻がいたよ、今は愛想つかされてもう別れたけど」

 女の子が少し息を飲んだ音が聞こえた。

「…あの〜、そのー、そんなつもりじゃ…」

「いいよ、過ぎた事だし」

 少し、2人の間に沈黙が流れた。

「じ、じゃあおにーさんさ」

 彼女が何か提案しそうにしている。

「わたしが大人になった時も1人だったら、わたしが…」

 が、声が小さくなって最後まで聞き取れなかった。

「ごめん、聞こえなかった、なんて言った?」

「う、うるさい!2度も聞くなバカ!!」

 もう知らない!と言って去っていった。

 彼女の様子がおかしい日もあった。

「ね、ねえおにーさんさ」

「?、なんだ?」

「もし、もしわたしが明日…」

「?」

「な、なんでもない!おにーさんいつもダサいジャージ着てるねって!」

「なんだとこのガキ」

 その日の彼女はいつもより楽しそうだったし、少し悲しそうだった。


 その、次の日が、


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