メスガキが…

るみや きぐ

ガキが…

「メスガキが…」



「いない…?」

 おかしい、いつもこの時間にここに居るはずだ。

 何かあったのかー。俺は無意識に走り出していた。




 俺が退職して妻も金も無くなって、訳もなく家の周りをぶらぶらしてた時、

「あれ?おにーさんこんな平日の昼間から何してるの〜?w」

 無性に腹が立つ声が聞こえた。

 無職になってからこんなこと言われ慣れていた気もしてたが、ここまでバカにされると腹が立つ。

 少しイライラしながら声のした方向に向いてみると、

「みんなまだお仕事してるよ〜?wおにーさんはお仕事いかないの〜?w」

 年端も行かないメスガキがいた。

「ガキか…」

 俺はその子の方に向き直って諭すように言う。

「今ね、お兄さんは少しお休みしてるんだよ。もう少ししたらお仕事に戻るから」

 少し見栄を貼った、転職の目処も立っていない。

「へ〜、おにーさんの仕事着ってジャージなんだw楽そうだね〜?w」

「…っ、このメスガキ…!」

 痛いところをつかれた、最近はジャージで外出するのが癖になっていた。

「あたし知ってるよ!おにーさんみたいな人のこと”むしょく”って言うんでしょ!やーいむしょく!w」

 女の子がむしょくむしょく〜と言いながら走り去っていく、俺はそれを歯を食いしばったまま見送ることしか出来なかった。

「くそ…あのメスガキ…、次会った時は大人の威厳を分からせてやる…」




 走りながら女の子との思い出が次々蘇ってくる。

 いつもの公園の周りは探し終わった、いるとすればー。

「家か」

 俺は彼女の家の方にかけて行った。



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