Ⅳ 運命と進展と
「...え...」
私の目は、彼女の腕に釘付けになっていた。
『ありがとう』
あの時と同じ...腕だった。
「どうされました?...あ、この黒子ですか。変わってますよね。よく言われます...クロード様??」
「...はは...私は貴女のことをずっと前から知っていたようです...」
一人で笑うと、彼女は少しむくれた。
「...何なのですか...先ほどから...訳の分からないことばかり...」
「...『先ほどから』?」
「あ、『貴女の方が素敵だ』なんて!!」
「ぶっ!!」
動揺で吹いてしまった。
「いや、あの、あれはですね...その、意識が朦朧としていたんです...だから...」
だから?
忘れてくれと?
そんなことを言ってしまったら、彼女はどんな顔をするだろう。
「だから...その...」
っ...
「ほ、本心がつい!出てしまいまして!!」
「...!!」
目を丸くして驚く彼女の頬は薄らと紅くなっていた。
そういう私も紅くなっていたが。
「...その...貴女のことが気になっているのは事実です...」
言葉に反応して、心臓が早鐘を打った。
....私はまたとんでもないことを...
「...本当ですか...?」
沈黙を破ったのは彼女だった。
「その、わたしの一方的な感情だったら嫌だったんです。最初はお見合いという言葉に騙されて勘違いしたんだと思っていたのですけど...」
「...?」
「勘違いではないと確信しました。例えお見合いという体で出会っていなくても、クロード様と結婚したいです」
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