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それはまだ夜が明ける前のことだった。
ゴーーーーーっという音とともに、大地が揺れ、誰もが目を覚ました。
そして次には、火が空を覆い、海が街に迫りくる。
空が、陸が、海が、うなりをあげて人々に襲い掛かったのだ。
人々は為す術もなく、ただ立ち尽くすのみ。
うなりが止んだのは、その日の夜のことであった。
サオは焼け焦げた木材のにおいで目が覚めた。辺りを見回すと、変わり果てた街が目に映った。家は焼け、見渡す限りが真っ黒に焦げていた。
「何が起きたんだ…!ここはどこだ…僕の家は…痛っ…!!」
サオは立ち上がろうにも、木材に足を取られ思うように動けない。サオは力を振り絞り、重い木材から足を抜いた。
傷む足を引きずりながら、サオは事態を把握しようと辺りを歩いた。
街はサオと同じように怪我をしたもの、道端に倒れているもの、恐怖から泣き叫ぶものであふれかえっていた。
「一体、何が起きたんでしょうか?」
サオは通りすがりの老父に尋ねた。
「私もよくわからん。みんな寝ておって、目が覚めたらこれだ。確かとはいえんが、自然災害か何かだろう。」
老父はそう答え、再び歩き始めた。
数時間暗闇を彷徨い、サオはおそらく自分の家であろう場所に辿り着いた。災害の痕跡は深く、立て直すことが出来るような範疇ではなかった。
「これからどうやって生きていくべきか…」
サオは自分の家だと判別できた根拠となったものを手にし、一晩中立ちすくみ続けた。
夢で出会った未来の女性が描かれた絵を手に―。
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