エピローグ2 そのうた 誰がために

『はい、それでは教科書30ページ…』



歴史の授業って退屈だ。


ただ教科書を読んで、ノート取って、暗記するだけ。


私にとって歴史の授業は、お遊びの時間だ。もうすぐ受験も近いがどうもこの時間は身に入らない。


電子辞書でゲームしたり、落書きしたり。


今日の授業のメインは平安時代だから、和歌でも調べてみるつもり。


古典は苦手だけど現代語訳があるから読める。なんだかラブストーリーを読んでる気分なれるから、和歌を読むのは大好き。


ん…?


『小夜 僕は海 君は大地 僕が僕の道を外れぬよう 君の手を離さずにいたい 

  —須 早緒』



私の名前が和歌に入っていたので、目を奪われた。



歌の意味することは分からないけど、なんか惹かれるなあ。



須 早緒? すの さお? 女の人?



小夜-。



その時、誰かが私の名前を呼んだ。


先生に指名されたと思ったが、そんな様子ではないようだ。


周りを見渡しても、誰も反応していない。


どこから聞こえてくるかも分からない。



周りをキョロキョロすると、チャイムが鳴り、授業が終了した。





気のせいかな。


それは、低く、例えるなら大木のようなどっしりとした深い男の声だった。






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