第10.5話

 はあい、私はエミリー! このメディオライド村で1番可愛いと自負している16歳!

 実はいま、ある男の子のことが気になって仕方がないの。

 アルク? 

 違うわよ、誰があんな貧乏くさい男に好意を向けるもんですか。

 そうじゃなくて、最近来た子なの。

 

 名前はコーヤ君、私と同い年なんだって!

 発見されたときには木の棒しか持っていなかったらしいけど、この前彼が村の男達と会話をしている姿を見て感じたわ。

 

 金のにお………恋の予感を!

 筋が通っていて高い鼻、切れ長の目、艶やかな黒髪、すらりとしていてやや筋肉質な体型。

 そして初対面の人間とも余裕で話す社交性。

 この私の相手にピッタリだと確信した。

 仲良くなるべくすぐさま行動を起こした私。

 

 だけど何時も見つけることは叶わず、いたとしても常に平々凡々とした顔と体格の男が隣に立っていて邪魔をする。

 何故あんた如きがコーヤ様の隣にいるのだ。

 お前とコーヤ様の共通点などせいぜいが髪の毛の色だけだろう。

 今すぐその場を私に明け渡せ。

 

 ああコーヤ様、今日もお美しいそのご尊顔を見ることができてエミリーは幸せで胸が張り裂けそうです。

 もうしばらくお待ちくださいませ、入念な準備を整え次第、隣のゴミを排除して私がとなりにはせ参じますので。

 

 コーヤ様あああああああ!



「あ、明、あの子マジでどうにかしてくれないか。もう昨日からめっちゃ怖いんだけど」

「獣の目だなありゃ」

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