第7話 可愛い俺は高く売れるらしい
遺品を拾い集めた後は、直ぐに帰る訳にも行かない。
サランガの街から此処まで最低4日は掛かるので、捜索も含めると最低10日は帰れないと伝える。
仕方がないので、スタートゲートに二人を連れて跳ぶ。
臨時ゲートのマッターホルンの中に入ったのに、いきなりドームの中なので戸惑っている。
出入口を解放して外に出る様に促すと、さっき迄と全然景色が違うので転移魔方陣で転移したのだと納得していた。
この周辺も結構危険なので、怪我の鑑定で解った二人の魔法特性について教える事にした。
「クルフは生活魔法が使えるよな。他にも使える魔法が有るけど知っているかい」
「本当かい? 魔法が使えるのか?」
「鑑定で見た限り、クルフは火魔法と風魔法の素養が有るぞ。他人と比べて、どの程度使えるのか判らないけどな。シャイニーだって、生活魔法以外に水魔法と氷結魔法に結界魔法の素養が有る」
戸惑う二人に、これからも冒険者を続けるならば、多少でも魔法が使える方が良いのではないかと話す。
「でもどうやって魔法を使うのか判らないし、魔法が使えるなんて初めて聞いたよ」
「覚える気があるのなら、基本だが教えてやるぞ」
二人とも真剣な顔で、お願いしますと頭を下げるので引き受けた。
先ず魔力のコントロールから教える。
丹田に有る魔力を感じる事、生活魔法が使える二人は半日で理解した。
次に魔力の循環で身体の隅々迄魔力を送り巡らせ元に戻す練習と、寝る前に魔力の放出だ。
知った様なことを言って教えているが、ラノベに感謝です。
放出が一番難しかったらしいがクルフには生活魔法のフレイムを連想させた。
掌を前に向け掌の上1mの所にフレイムをイメージさせる。
生活魔法の様な小さな炎が、ポッって感じで出現した時は感動していたね。
ファイアーボールにする為には種火を大きくする時と同じ、口で息を吹きかけ炎を大きくするのを想像させて炎を大きくさせる。
撃ち出すのは掌から巡る魔力を標的に叩きつける感じなので、掌を壁に叩き付けるイメージでやってみろと教える。
飛んだけどヘロヘロだね、後は練習あるのみ。
シャイニーの水魔法はクルフの説明を聞いていてウォーターに置き換えてイメージしたら存外簡単に出来た。
〈パシャ〉って直ぐに壊れたけれど、一発でウオーターボールを作った。
イメージを途中で途切れさせたのが失敗の原因だと説明し、撃ち出す迄はイメージを途切れさせるなと指示。
俺の雷撃魔法を見せる、掌5mの所に球体を作りその中に放電現象を再現する。
そのまま放電させつつ球体を徐々に大きくして見せ、放電現象の眩しさの限界で上に打ち上げる。
今のが頭の中で想像した事を魔法として現した物だと言うと、イメージだけでそこまで出来るのかと驚いていた。
魔法はそこに出現させるものなので、究極的には飛ばさなくても良いのだ。
遠くの岩を見てもらい、岩を球体に変える。
そして球体の周囲で雷撃魔法を発生させ岩の球体を破壊する。
最終的には此処まで出来れば最高だけどね、と笑っておしまい。
真剣な顔で頷き、魔法の練習に励む二人。
10日後にサランガの森ゲートに跳び、そこからは歩きでサランガの冒険者ギルドに戻った。
クルフとシャイニーは、突然吠え猿の群れに襲われオルガキが倒れヤーナンとも離れ離れになった事。
クルフとシャイニーが灌木の茂みに身を潜めて反撃し、持ちこたえていたところへ彼等を探しに来た俺に助けられたと報告した。
オルガキとヤーナン二人の、ボロボロの遺品を取り出すと状況を理解した様だ。
勿論クルフとシャイニーもボロボロの状態だしね。
問題の吠え猿の群れは俺が壊滅させたとの報告に、これ以上被害は出ないと思ったギルマスはホッとした様子だった。
その後〔草原の剣〕捜索の依頼報酬と、これまでに売った野獣の魔石の支払いを受けてギルドを出る。
魔石って定価でなく時価なので、支払いが遅れるとは知らなかった。
クルフとシャイニーから、これからも魔法の指導をして欲しいと願ったので了解した。
三日後の朝にサランガの森ゲートでの待ち合わせを約束して別れ、ホテル銀の花に向かった。
翌日は一日市場を巡って食料と酒の補給をし、夕方に街を出る。
門衛に今から一人では危険だと止められたが、土魔法でドームを造るので大丈夫だと笑って外に出た。
そのままサランガの森ゲートからスタートゲートに跳んでお休みなさい。
約束の三日目の朝、サランガの森ゲートの前でクルフとシャイニーを待っていると、程なくして二人の姿が見えたが金魚の糞がついてきている。
クルフにあれは知り合いかと尋ねると、苦い顔になる。
ニヤニヤ笑いで俺達の前に立った奴の中に、この間俺が埋めた三人がいるではないか。
残りの三人のうちリーダーらしき男が「二人のパーティーじゃ心細いだろう」俺達と組もうぜと屑らしい言い草。
俺の顔を見て「もう一人居るのか、高く売れそうだな」とほざく。
「高く売れそうだなって、俺は売り物か」
「女は高く売れるのさ、男でもお前くらい可愛いと好き者が高く買ってくれるからな」
「クルフも売れるのか?」
「あー、むさい野郎はただの奴隷だが、少しでも金にしないとな」
「じゃあ、遠慮する必要は無いな」
即座に6人の足下に穴を開け首まで埋めた、首枷の状態にしてから尋問だ。
五人には植木鉢の様な物を作って被せる。
「で、誰に売るんだ、順番に聞くけど素直に話せば痛い思いはしないぞ」
リーダー格の男は煩く喚くだけなので、クルフのロングソードを借りて肩に突き刺す。
隣の奴に被せている物をリーダーに被せて尋問するが、素直じゃ無いので鼻を蹴り上げて潰す。
次の奴だが、此奴も巫山戯たことを抜かすので鼻を潰して次だ。
四番目の奴はこの間俺が埋めた一人なので、黙って鼻を蹴り上げる。
「次はないって言ったよな」
シャイニーに火魔法の練習でロングソードを炙らせると、潰れた鼻をそぎ落とす。
次はと、面倒なので被せる役はクルフにやって貰う。
一回りして又リーダーだが、睨んでいるので焼けたロングソードを反対の肩に突き刺す、シャイニーに焼き直してもらい序でに耳をそぎ落とす。
隣の奴にリーダーの姿を良く見せてから尋問開始。
嫌な顔で睨むので、焼けたロングソードで目を潰すと悲鳴を上げて失神した。
ふむ、自分が痛く無いのなら、他人の痛みなぞ知った事かって言葉を思い出した。
まさしく名言だな。
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