第5話 赤い目のオーク
「ところで、さっき目の赤いオークって言ったよな。珍品だとか」
「蜥蜴が直ぐにお金に為らないのなら、オークも沢山有りますので買って下さいな」
「話を逸らすなよ、ユーヤ」
気色の悪い声で、ニタニタ笑いで擦り寄って来る変態親父二人。
「地龍はオークションに出すが、前金で金貨30枚を渡しておくぞ。逸れとオークの赤目には、金貨15枚を前金でどうだ」
結局オーク五体と赤目を一体を渡し、オーク五体の代金金貨5枚と蜥蜴と赤目の前金金貨45枚、合計金貨50枚を貰って引き上げる。
帰り際に冒険者カードがブロンズの二本線になっていた。
来月にはシルバーにしてやるので、当分この街に居ろと言われた。
冒険者御用達の店に行き腰に付ける小さなバックとベルトに通す皮のポーチも購入。武器を展示している所では、鉈を見つけたのでこれもお買い上げ。
テーブルと椅子も野外で使う想定の物を見つけて買う。全てメッセンジャーバックに見せ掛けたマジックバックに入れて店を出る。
ホテルに向かって歩いていると嫌な気配が後ろからするので振り向くと、さっきの店にいた三人連れのむさ苦しい奴等だ。
「何かご用ですか」
「余りにも良い買いぷっりなので、俺達のも買って貰おうと思ってね」
「自分で稼いで買え! 糞野郎!」
こんな奴等に付き合う気は毛頭無いが、こ奴等も沸点が低いねー。
凄み出したが、煩いので即座に脚を埋める。
腰まで埋まって慌てる馬鹿に、死にたく無ければ付き纏うなと言って放置する。
固めて無いのでそのうち這い出すだろう。
調味料やパン、串焼き肉を20本ばかりと野菜料理を多数買い込み、ホテルに頼んで大量のスープを寸胴に作って貰った。
食料備蓄が出来たので再度森に行く事にして、冒険者ギルドに寄りヤハザンさんに暫く森に行くので宜しくと伝えておく。
オークションの売上は預かっておいてと頼むと、冒険者ギルドと商工ギルドが共同で管理する口座が有る。
冒険者カードで出し入れ出来るので、お前のカード番号に振り込んでおくと言われた。
便利な世の中です事、3Kの危険汚いきつい+臭い不便なこの世界だが、以外とハイテクな魔法が有るんだな。
門衛にギルドカードを見せて通過、森の入口迄結構距離が在るが転移魔法陣を使うと目立つので控える。
小汚いゴブリンと遭遇するが、即座に穴に落とし埋めておしまい。
ゴブリンなんかと喧嘩する気は欠片も無い、この世界の臭い汚いの代名詞だから埋めて見なかった事にする。
灌木が密集している傍に、背丈より少し高い三角錐で中が空洞の岩を作る。
入口から下ると直径3m程の空間で、此処に転移魔方陣を設置する。
この転移魔方陣をサランガの森ゲートと命名、初めて作ったドームの転移魔方陣は、この世界の出発点なのでスタートゲートと呼ぶ。
一瞬の揺らぎの後懐かしいドームの中だ、本当に何も無かったからなぁ。
街へ通じる転移魔方陣の設置が出来たので、これからはこの森のドームとサランガの森ゲートを利用して遊ぶ事にする。
今日はこのドームに手を入れて住み易くするだけにし、後はのんびり過ごす事にした。
ホテルのスープが美味しいし、パンも焼きたてだしサラダもお肉も最高だね。
これこそ望んだお気楽安逸な生活で、後はアウトドアライフを楽しむ事にする。
キャンバス張りの折り畳み椅子に座り、土魔法で作った薪ストーブの炎を眺めて過ごす。
幸せだ♪
寝起きは快適で、起きると先ず生活魔法のクリーンでお口爽やか体もスッキリ、使えて良かった生活魔法。
朝食後のお茶を楽しんでから出発する。
目的地は適当で、鑑定を使いながら興味の惹かれたものに向かって進む。
鑑定も進化しているのか味の良し悪し迄解説してくれるので、不味いと出たらスルーするー。
親父ギャグの切れが悪いので、精進せねば。
おっ葡萄の様な果実をみっけ、鑑定では食用で美味と出たので収穫する。
手が届かない場所のものは、土魔法で足下を持ち上げて楽に収穫する。
どうもさっきから収穫する俺の周囲を、威嚇する様に一匹の蜂が飛ぶ。
黄色い頭に胴体は黒で、短い毛が密集していてその下は黄色に黒の縞模様だ。
蜂なら蜜を手に入れるチャンスかも、周辺を探して美味しい蜜をゲットだじぇ。
静かに地面に伏せて蜂の動きを観察すると、巣に帰る様なのでひたすら追跡だが、飛ぶ奴に追いつける訳もなく見失う。
此処からがユーヤ君の根性の見せ所です、他の奴を見つけましたとも根性の勝利です。
防御結界に群がる蜂を、結界に雷撃を這わせて撃ち落とす。
雷撃五度目でどうにか始末し、残りの蜂をポチポチ撃ち落とす。
ワクテカしながら巣を解体したが、蜜の欠片も無いではないか。
こ奴等は蜜蜂で無かったのね。
無益な殺生をしてしまった許せ! 南無南無。
疲れたので今日は此処までにする、転移魔方陣を設置してスタートゲートに戻る事にした。
明日は此処からの再挑戦だ覚えていろ、とチンピラの様な台詞とともにスタートゲート跳ぶ。
* * * * * * * *
翌朝、快眠快食快便は健康の証と一人悦に浸りながら、臨時ゲートへ跳ぶ。
跳んだ瞬間にビクッとした、目の前にオークが仁王立ち。
違う! 不思議そうにオーク立ちして俺を見ている。
嫌だねぇ、早朝からこんなのと出くわすとは厄日かな。
しかも薄汚れて黒ずんだ茶色の剛毛に赤い目だよ、結膜炎かな。
目薬点す前に死んで貰おうっと、足下に穴を開け首まで埋めて固定したら心臓の辺りに狙いをつけて土槍でプスリ。
早朝から血は見たくないからね、死んだら地上に出してマジックバックにポイッとな。
メッセンジャーバックを改良したマジックバックは獲物専用に決めた、新しく作って腰に付けた皮のポーチと袋が生活用品と財布だ。
神様に貰った財布を腰のポーチに入れる、財布の中に財布を入れているが気にしない。
着ているフード付きのジャケットの両サイドのポケットも、マジックポケットに改変済みだ。
何処でもドアは無いけれど四次元・・・マジックポケットは便利なポケットだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます