第4話 憧れの冒険者登録

 俺は冒険者登録だが、受付にはジジババしかいないじゃん。

 しゃーないから空いている爺いの所で、冒険者登録のお願いをする。

 名前を書いて魔法欄には土魔法とだけ書く、出身地は森の中なので知らないと申告して水晶玉に手を載せる。

 

 ドキがムネムネするが、ラノベのお約束には従わねばね冒険者にならない。

 鉄製で名刺大のカードに、この街の名前と俺の名前に年齢。

 カードには何故か俺の顔が点描で描かれていて、下にユーヤ25才裏には魔法陣らしき模様が有る。

 その下に気になる文字が書かれていて、人族3エルフ1とは何ぞや。

 良く判らないので尋ねると、水晶鑑定ではエルフの血も混じっていて1/4がエルフで残りが人族だとさ。

 健康で長寿、人より抜きん出た魔力ってこれか、納得だね。

 

 説明ではアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの五段階で、名前の下の線一本が一級,二本が二級を示し、二級になると次のランクに昇格する資格持ちだとさ。

 俺はアイアンの一級でぺーぺーです。

 

 薬草と獣を持っているので、買い取りカウンターに行きお願いする。

 何を持って来たのか聞かれたので薬草が沢山と兎、鶏、猪、狼、鹿、熊と申告する。

 

 「こら! 糞チビが、からかいに来たのか! 帰れ!」

 

 沸点低いねーおっさん。

 〔草原の剣〕リーダーのオルガキさんが笑いながらやって来て、俺が申告通りの物を持っているので、裏に行こうぜと声を掛けてくれた。

 瞬間湯沸かしのおっさんは、疑わしげな顔で解体場に案内してくれ此処に出せと不機嫌な声。

 取り敢えず熊、鹿、狼、猪、鶏、兎と一匹ずつ出す。

 

 「お前今登録したばかりだよな?」

 

 「あー、こいつに常識は通用しないぞ」

 

 オルガキさんが笑いながら説明してくれた。

 

 「まだまだ沢山持っているけど、値崩れするから少しずつ出せと教えてあるからな」

 

 一杯奢るから済んだら食堂に来な、そう言って引き上げていった。

 

 「お前、後は何を持っているんだ」

 

 湯沸かしのおっさん、声のトーンが低く為ってるぞ。

 

 「熊が三種類赤と黒と灰色で、狼の黒いのと茶色と白いのも有ったな、狐も二色で後は蜥蜴が一匹と」

 

 「まっ待て! 今蜥蜴って言ったよな」

 

 「ああ、結構大きい蜥蜴だよ」

 

 「それ誰にも言うなよ。黙っていろ、騒ぎに成るからな。明日もう一度此処に顔を出せ、俺の名前はヤハザンだ呼び出せ」

 

 「判った、それの買い取りの査定は長く掛かるのか。薬草も売りたいのだが」

 

 「優先してやらせるよ。薬草を出したらオルガキ達と飲んでろ」

 

 礼を言って再び買い取りカウンターに行き、薬草を出すがこれも多すぎるので10束ずつの買い取りになった。

 中には高価な薬草も複数有ったので、それも少量ずつ出すことにした。

 

 食堂のオルガキさん達の所に行くと、皆がニヤニヤ笑いでヤハザンのオッサンを黙らせたんだって、と嬉しそうだ。

 転移後初のまともな食事なので、シチューにステーキとパンを注文してひたすら食べた。

 腹も落ち着いて皆と呑みながら談笑していると、ヤハザンのオッサンが呼びに来た。

 

 熊が金貨2枚、

 鹿が銀貨8枚

 狼が金貨1枚と銀貨3枚

 猪が銀貨7枚

 鶏が銀貨3枚

 兎が銅貨3枚

 計金貨5枚と銀貨1枚に銅貨3枚になった。

 薬草は高価な物を含めて金貨1枚と銀貨3枚になり、合計金貨6枚と銀貨4枚銅貨3枚と大分稼げた。

 ヤハザンさんに清潔なホテルの場所を聞き、呑んでいるオルガキ達と別れてホテルに向かう。

 

 ホテルの名は〔銀の花〕洒落た名で、一泊銀貨1枚とお高いが綺麗なので3泊分を払う。

 冒険者御用達の店の場所を教えてもらいお買い物、神様の呉れた物は長くは持ちそうもなかった。

 服二着と下着5着にブーツで金貨2枚と銀貨6枚、たっけぇーなー。

 この世界は全て手作りだから仕方がないのか。

 

 後は折り畳み式のベッドと布団が欲しい、もう枕も無しで固い地面に寝るのは勘弁して欲しい。

 二本の棒にキャンバスを張りエックス状の脚で支える、米軍御用達みたいなベッドを買い布団は毛皮の寝袋に決めた。

 帰りに市場で塩をたっぷりと買ったが、銀貨3枚も取られた。

 

 この世界の通貨は10進法で日本円換算で

 鉄貨、100円

 銅貨、1.000円

 銀貨、10.000円

 金貨、100.000円

 換算で単位はダーラだ、神様ふざけてやしませんかってね。

 51万少々稼いだが、物みな手作りとなれば高いよねー。

 塩だって1リットルも無いのに三万円だよ、泣けて来るよ。

 今日はホテルのベッドでさっさと休もう。

 

 久しぶりのベッドに柔かな布団で爆睡し、目が覚めたら結構陽も高く朝食後直ぐに冒険者ギルドに向かった。

 買い取りカウンターにヤハザンさんが居たので、直ぐに解体場に連行された。

 解体場にはエプロン姿のガタイの良いオッサンが待ち構えていて、ヤハザンさんの指示で蜥蜴を出す。


 頭の先から尻尾の付け根までで8mは有りそう、尻尾の先迄だと倍近いな。

 こいつが目の前に立ち塞がった時には、死んだって思ったぜ。

 目も合わせず即座にドームに篭ったが、ドカドカ殴る蹴るの乱暴狼藉に頭にきて〈ギャーギャー〉と煩い口の中に、雷撃魔法をぶち込んだらあっさり倒れた。

 

 よく見ると口の中真っ黒で、お前歯を磨けよって突っ込みを入れるところだった。

 口の中に雷撃喰らえば脳天に響くよな、蜥蜴でも死ぬのは無理ないむりない、御免ね。

 

 思い出に浸っていると、ヤハザンさんとエプロン親父の二人が唸っているよ。

 親父の念仏みたいな合唱を聞きたく無いので、ヤハザンさんをツンツンする。

 

 「引き取ってくれるんですよね」

 

 「地龍はオークションに掛けるぞ。ギルドでは受けきれないのでな」

 

 「まさか、俺の名前を出して大々的にやるつもりなのか」

 

 即行で蜥蜴を仕舞う。

 

 「これは無かった事にします。オークなんて如何ですか? 捕れたてでしかも目の赤い珍品まで取り揃えております」

 

 「待て待て、出せ!出せ! お前の事は秘密にしておくから出せ!」

 

 絶対に秘密にするからとの約束の上で、渋々蜥蜴を出した。

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