壱 内国霞が関
第4話 車中の会話
ブリーフィングによれば、チームの女性陣の中で、次いで若いのは二十歳の
落ち着いた色合いの公用車の中も、前列に初見の大人二人と、後列に
・・・が、前列助手席に座った車中で
バックミラーを介してちらりと
「
と愛嬌を込めて微笑んだ。緊張のためか瞑想なのか、どこを見るでもなく自分の世界に入りかけていた
目線を受けた、
「内国を出るってこと、入隊してから私も初めてなんだ。明日から向かう地は、内国の法規は適用されない。おうちに立派な道場をお持ちの
という。
「私が国防軍に入隊したその年はね、内国がこの地に転移してから半年も経っていなかったの。新兵ながら感じたのは、軍の中の、とにかく厳戒態勢だ、という雰囲気。日々の訓示も、膨大に広いこの新地に何が出てくるか分からない中、なんてところから始まるのよね。あぁ、
国防軍では、今いるこの球体の名前が決められる前から、新地って呼んでいるのよ。私たちはすっかりそれに馴染んじゃってるからね」
「軍隊というところは、まずは主敵を見定めるものなの。新地に来た時に、大気圏外の通信衛星が根こそぎロストしちゃったからね。どこに敵がいるか分からなくなっちゃったお偉いさんは、パニくっちゃってたのね。今でも、地上のレーダーの防空識別圏の外への警戒心はとても強い」
これまで愛嬌ある笑みを時折交えながら話していた
「何がいるか分からないと警戒すべき新地の島での、警護を担当する私には優先順位が指示されている。分かるわよね?」
「第一隣接世界からいらっしゃる、牧野葵さんをお守りすること、ですね」
と答えた。
「そう。私たちは、一地の要人にして、徳川家の末裔のお姫様、葵さんの警護が全ての最優先...。第一隣接世界のことを、国防軍では一地と呼びはじめているの。数十年進んだ技術をお持ちの第一友軍候補、的な意味合いが込められているのかもね」
目的地に着いた公用車が、認証ゲートの前に停止した。
「もちろん、
と続けた。
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