第28話 もうひとつの、宇宙での推進方法

以前の話で「三軸合力推進=GEEドライブ」をご紹介しました。


※余談ですが、「三軸合力推進」では、やぼったいので、英訳すると、

Propulsion system by the combined force of three orthogonal axesという訳になりました。「コンバインド・フォース」は気に入りましたので、CF3Dドライブを、もう一つの別名とします)


実は、これ以前に考えた推進方法があります。ロケットエンジンのように爆発力で推進剤を噴射して、その反動で前進するのではなく、噴射を伴わない閉鎖系の推進方法です。


推進方法の名前は、同じく「GEEドライブ」と呼んでいました。ややこしいので、こちらは、「旧GEEドライブ」と呼称することにします。


相対性理論では、物質は光速度に達することはできない、なぜならば、質量が無限大になるからだ、という認識ですが、これを利用するわけです。


つまり、「質量無限大」とは何か?  私は、「空間に固定される」と解釈しました。空間に固定される=足がかりができる=足がかりを蹴っ飛ばせば、推進できる、という論法を使うのです。


推進装置の中で、たとえば陽子を光速度近くまで加速して質量無限大状態を作り出し、それを足場として、宇宙船を推進させます。質量無限大を解除すれば、慣性飛行をします。これを繰り返せば、推進剤を宇宙空間に放出しなくても、繰り返し利用できるエンジンになるのでは、という考え方です。


実際には、質量無限大にまでしなくても、宇宙船の重量より十分大きければ、足場として使えるのではないかと考えていました。


実は、課題があって、このままでは推進できません。


つまり、質量無限大になった後、減速して受け止めないと再利用できません。再利用するために減速した時に、逆推進してしまうため、結局、その場で前後振動するだけになってしまいます。


その改良型が「新GEEドライブ」というわけです。足場につかった後の減速段階に入る前に、0G環境で方向転換(完全弾性反射)させてやれば、減速時にも推進力に変えることができます。




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