第22話 反重力とジャイロ

地球ゴマというおもちゃ?で昔遊んだことを思い出します。倒れずにヒモを伝っていくのを眺めていました。


このジャイロが、反重力下でどう振る舞うかを考えてみました。


重力下の場合、物質には、加速膨張によって外側へ歪められるため、反作用として歪を縮んで直そうとする力が内側へ働きます。(=向心力=重力)

結果、ジャイロでは、向心力の反作用である遠心力が働きます。


重力下では、蟻地獄のような漏斗状の場をイメージしてください。

漏斗の縁を球が周回しているとすると、周回速度が低下すると、徐々に内側へ落ちていくでしょう。


逆に反重力下では、減速縮退によって、内側へ歪められ、その反作用として外側へ広がって歪を直そうという力が働きます。(=遠心力=反重力)


ジャイロでは、重力下とは逆に、遠心力の反作用として向心力が働くはずです。

反重力下は、富士山のような円錐をイメージしてください。このとき、山頂へ向かうような力が働きます。同じように円錐を球が周回しているとき、勢いがないと、麓へ、勢いがあると、中心部へ向かいます。


ジャイロは円盤を回しますが、たとえば、中心から鎖で重りを繋いだものをいくつかぶら下げて回転させてみます。


重力下では、回転が上がると、鎖が伸び切って重りは今にも飛んでいきそうな状態になります。これが反重力では、回転が上がると、重りが中心に集まってくることになります。(鎖は垂れたまま)


重力下なのか反重力下の違いで、鎖-重りジャイロの挙動が変わるのは興味深いです。


これを応用すれば、今の環境が重力下なのか反重力下なのかを検出するセンサーができそうです。XYZ 3軸分ジャイロを用意して、ジャイロには、中心から外周まで溝を掘って、重りを中心と外周から伸びたバネで支えておきます。回転していないときは、重りがちょうど半径の半分ぐらいに位置するようバネを調整します。


あとは、偏心しないよう、4つか6つぐらい溝-バネ-重り構造を作っておきます。


これを回転させて、重りの位置が半径の半分より外側へ向かえば、重力。内側へ向かえば反重力の影響下にあることがわかります。


すでに、スマホには重力センサーパーツが付いているから、多少改造するだけで、反重力対応センサーになると思います。



反重力の性質をおさらいしてみます。


SF小説や映画などでは、反重力は重力の反対ということで、物が軽くなる(負の質量を持つ)という認識がありますが、たとえば、1Gの重力下で100gの物質は、1Gの反重力下では、やはり100gとなります。。。。というと、「どこが反重力やねん!!」という疑問も当然と思います。


実は、微妙に違いはあるのです。


重力下では、物質は圧縮される力が働きますが、反重力下では、物質は膨張する力が働きます。つまり、同じ物質でも反重力下にある場合は、微妙に体積が増える(=密度が低下)のです。これは、分子間力が弱まるためです。


したがって、重力下では、ピッタリはまっていたもの-ネジ、桐箪笥など-が、膨張することで、抜けにくくなってしまうことになります。水の表面張力も低下します。その他の物質も同様に影響をうけますので、化学反応等に影響する可能性があります。反応がしにくくなるなど、逆に反応しやすくなる可能性もあります。


このあたりは、反重力影響=加熱したときの影響としてシミュレーションしてみるとわかりやすいのではないでしょうか。加熱することで、分子運動が激しくなり、分子間力が相対的に弱まるという点においては、反重力下の物質の振る舞いと近いものがあるからです。





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