第15話 反重力の作り方(3)

では、仮に反重力が発現したとしましょう。するとどのような現象が見られるのかを考察します。


まずは、反重力場が形成されていると思われる空間に、プレパラートに水滴を1滴垂らしたものを設置します。(=「水見式」と呼びましょうか)反重力場では、原子や分子がお互いに離れようとする力が働きますので、水滴を形作っている表面張力が弱くなるはずです。


結果として、1Gより弱い反重力場が形成された場合、丸々としていた水滴が、少し平べったくなる現象が見られると思います。反重力場を消失させると、元通り表面張力が働いた丸々した水滴に戻るでしょう。


丁度、重力の1Gを打ち消すような▲1Gの反重力場が形成された場合、丸々として水滴が、もっと丸く、うまく行けば、プレパラート上に小さな水球が乗っかっているような状態を見ることができるでしょう。これは、水の表面張力が、0Gで重さがなくなった水滴の下部まで回り込むからです。


1Gを超える反重力場が形成された場合、反重力場でも重さは重力場と同じように増えていきますので、表面張力が弱まっているところに、水滴の重さが加わるため、より平べったい水滴になると思います。


最初の弱い反重力と区別がつきにくいですが、後者の方が、より平たくなると思います。


もう一つの実験は、数センチ四方にカットしたティッシュとトランプ1枚を用意します。トランプは、何か文字が書かれたものでも代用できます。トランプの上にティッシュを載せ、光を当てます。反重力場が形成されていれば、透明化現象が起きるはずです。ティッシュの隙間が広がり、下にあるトランプの柄が見えるようになります。


反重力場が強すぎると、ティッシュがもろくなり崩れてしまうかもしれません。


重力場が形成されたときの水滴の挙動を考えてみます。Gが強くなると、表面張力も強くなっていきますが、水滴の重さも増してくるため、ある程度は均衡(=形が変わらない)しつつ、あるところで、重さに負けて水滴の形がくずれる(=平たくなる)と考えられます。ティッシュとトランプの場合も、特に透過現象は見られず、逆に少し透けていた絵柄が見にくくなるかもしれません。


こうして思考実験してみますと、重力と反重力では、挙動が違うのが面白いですね。








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