第4話 ぼっちが家事とかこなせたら駄目ですか

 引っ張られた力は少し強く後ろに仰け反りそうになった俺はすんでのところで体勢を保った。


「ちょ、オーバーリアクションすぎ」


「橋下はそう見えたんならしょうがないが俺は体幹は赤ちゃん並みだから。んで、何の用だ」


「弟の事、ありがと。弟は方向音痴だからいつ来ても迷うんだよね」


「まあ、ただでさえ地味に広いスーパーだからな。迷うのも無理はないんじゃないか」


「てかさ、今思ったんだけど蓮場って結構喋るんだね。ちょっと意外だったかも」


「そうか?俺はただあまり人と関わらないだけで対話するスキルは人並みにはあるが」


 と他愛もなく俺にとっては生産性の無い会話が続いた所で弟君が、


「ねぇーそろそろ帰ろうよー。おうちでご飯早く食べたいー」


「はいはい分かったからちょい待ち、ってか蓮場はその荷物だと1人暮らしなの?」


「ああ、こっちの高校来てからは1人で暮らしてるよ。家賃とかは親持ちだがな」


 今更ながら何で他人にこんな話をしているんだろうかと思った俺。


「そろそろ帰らせてもらいたいんだが、夕飯の支度もあるからな」


そうもっともらしい理由をつけて帰ろうとした時、


「何ならウチらの家で食べてかない?ほら、昼休みの件もあるし」


「いや、すまないがお断りしておくよ、俺は1人が好きなんでね」


「いやそれじゃ申し訳ないから、てか蓮場料理出来るの?」


「別に料理とか家事全般は苦ではないからこれと言って苦労はしてないな。それじゃ」


「あっ、ちょっと!」


 このパターンは『分かった』と言うまで続くなと感じた俺は即座に話を終わらせ、足早に家に向かった。


「はあ、危なく地獄の押し問答にあうとこだったな」


俺が今いる所は6階建てのマンションのエレベーターの前で、このマンションの2階に住んでいる。ここの管理人が俺の母親と高校の時から知り合い、仲もかなり良かった為、是非ここのマンションへと念押しされ今に至る。


エレベーターに乗り、2階で降りてようやく玄関までたどり着いた。


中に入ると早速冷蔵庫に買った物をしまい込んで、部屋着に着替えて部屋にある折り畳み式座椅子に座り込み、


「はぁ~今日は特段に精神を削られる1日だった」


そう独りでに呟きつつ座椅子から立ち上がり、台所に立った。


今日は茄子の甘辛炒めでも作りますか!


 まず、買ってきた茄子を乱切りにしてメイクドゥの甘辛の素になる奴を入れて小分けにした冷凍の豚バラを投入し弱火2~3分で炒めれば完成。


あとはご飯をよそいつつインスタントの味噌汁を作って完成。


「いただきます」


 う~んやはり茄子を買っておいて正解だったな。甘辛の素とも相性抜群だ、さすがメイクドゥだな。


 脳内孤独のグ◯メ状態だった俺は早々と完食し皿を片付けていた。


 片付け終わった後は風呂に入り床に着いた俺はネット小説を読み漁っていた。


「おおっ、俺の好きなネット小説家の『鯖より鯵派』さんの小説が更新されてる!これは読まないと俺の夜は明けない!」


とその日の夜はガンガン目にブルーライトを浴びて寝付けなかった。


 朝、いつも通りを装いつつ欠伸が漏らしながらも学校に向かい、教室に入ると空気に徹し、そそくさと自分の席に座り寝不足だった為か机に突っ伏した。


 HRは担任に目をつけられないよう起きてはいたが1時限目から昼休みまで寝ておりなにも覚えていなかった俺は昼飯を持ってきていない事に気付き、久しぶりに購買のパンを買いに下の生徒玄関へと向かった。


 購買のパンはどれも人気で特に手作りのソースで作られた焼きそばパンが大人気らしい。そのパンを求める生徒に揉みくちゃにされヘロヘロ状態になった俺はようやく手に取ったパンがクリームパンという空腹の俺の腹にはきつい物だった空腹には勝てず、それをお昼のお供に決めた。


 教室に戻るとクラスの人から(ごめん、名前忘れた)図書当番の松木さんが怒りながら早く来てと伝えてくれと言われ俺に伝えてくれた。


やべ、すっかり忘れてた。



























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