第2話 ぼっちが隅で本を読んでは駄目ですか
HRのちょっとした騒動の後はいつもどうりの授業が行われてあっという間に昼休みになった。
さてと、いつもどうり菓子パンでもつまむかな。
そう思い用を済ませてきた彼は自分の席に戻ろうとすると席の近くでがやがやと喧しい声が聞こえてきた。
「この前行ったカラオケ屋の店員感じ悪くなかった?いかにも無愛想って感じで店の雰囲気もなんかだったなー」
「なんかサイドメニュー頼んだらウチの事やらしい目で見てきたんだけど超気持ち悪かったんだけど」
「えーまじかよ、もしそんな目であかりの事また見てきたら絶対にその眼球潰してやるわー」
「えっマジ、さっすがー
いや眼球潰したらいかんだろと思いつつ彼は自分の席に向かい話をしている取り巻き達に、
「悪い、そこ俺の席なんだけどどいてくれないかな」
自分としては丁寧な言葉が口から出たことに驚きつつも取り巻き達にそう伝えた。
「は、何でウチらがどかないといけないの」
「お前がどっか行けばいい話なんじゃないのか。てかお前の名前なんだっけ?」
「お前、ここにいても本しか読んでないじゃん。本なんて図書室とか別のところで読めばいいんじゃないのか」
まあ、素直に応じる筈がないかと思いつつ彼はこの人たちの名前なんだっけと頭に疑問を浮かべながら考えていた。
確か1人称がウチの奴が橋下あかりでこの彼氏(彼氏と認識して良いか分からないがそう認識しておく)が
すまん忘れた。
あと1人の取り巻きに謝罪の念を送りつつ名前を思いだし、こう言った。
「昼休みは自由でも良いが他人の席を巻き込んでまでするような話ならもっと広いところで話をすればいいんじゃないのか。あと因みに聞くが本は教室で読んだら駄目なのか?お前らが言うとそういう意味に聞こえてくるんだが」
予想外の口論に周りの人達がざわめき始めた。
「なによ、ウチらがいけないって言うの?隅で本読んでる分際でウチらに指図すんのかよ!」
「別に指図している訳じゃないが、俺はただ単にそこが自分の席だから避けてくれないかっていうお願いをしているのであって指図はしていない」
そんな口論をちょうどC組の担任の白井先生が廊下で偶然目撃していた。
「おぉ、面白い展開になってきたきたぁー、あんなに口答えしてる蓮場は見た時無いぞ」
「ちょっ、白井先生いるんなら早く止めてくださいよ!クラスの風紀が乱れますから!」
「ああーはいはい分かったからそんなに押さないでくれ。ったく面白い物が見られそうだったのに」
委員長こと四宮に半ば強制的に引っ張られてきた先生は、引きずられながら教室に入ってきた。
「げっ、まずい先生だ」
「はいはい、そこで何をやってるんだ
「あっ先生丁度いいところに実は「この人達が自分の席を巻き込んで話をしていたんでちょっと避けてもらうようお願いをしたんですが避けては貰えなくて困っていたんですよ」ちょ、ちょっとー!」
「何だそういう事...ゲフンゲフン、んで話を聞くにこの3人が人の席を勝手に使っていたから避けてくれないかと頼んだら口論ということか」
「状況把握が早くて助かります白井先生」
「先生!でもウチらは」
「お前がどっか行けだの、本なんて何処でも読めるだろって言ったのは何処の誰でしょうね」
「うっ、そっそれは.....」
「という事なので、先生後お願いしても良いですか?」
「はあ、とりあえず放課後そこの3人で私の所に来い、少し話がある」
「「「はあい、分かりました」」」
気の抜けた返事をした彼らは自分のテリトリーに戻って行った。
「ふう、やっと菓子パンにありつける。貴重な昼休みが短くなった。せっせと食べて本で現実逃避しますか」
そう呟きつつ菓子パンの袋を開ける直前、
「ああ、あと放課後蓮場も来い、別の用事がある」
はあ貴重な放課後が、全く。
お読み頂きありがとうございます。
作者は小説を書くのが初めてなので皆様のご感想を元に小説をより良くしていきたいと思っております。
調子が良い時はバンバン投稿しますが、仕事もあるのであまり手がつけられない時もありますのでどうぞ暖かい目でご覧ください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます