5話目 歩き出す殺人鬼と壊れた女子高生

結視点


「お前、最後に親とか見てこい。」


見なくてもいいのに、なんで見なきゃ行けないの?


「自分が何をしたのか見て来いって言ってんだ。」


殺したんだよ。見なくても分かるよ!


「早く行け。」


わかったよ。


家にもう1回入る。目の前にはお母さんの…死体。


え、なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?

あれ?なんでお母さんは死んでるの?あれ?あれ?私が殺したんだっけ?


「あ、お父さん!お父さん!お母さんがそこで死んでるの!早く助けて!ねぇどうしたの!」


リビングで座り込んでるお父さんを揺らしたらそのまま傾いて床に倒れ込むお父さん。


「どうしたの?ねぇ。え?なんでこんなに血まみれで…きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ。」


死んでる!なんで?誰が、誰がこんなことしたの!


「誰がお父さんをころしたの!?だれ!お母さんも!あ、お姉ちゃんは?大丈夫!?」


お姉ちゃんの部屋に駆け込む。ベッドの上でちゃんと布団被って寝てた。


「ねぇお姉ちゃん、大変なの!お母さんと、お父さんが!ねぇ!起きて!」


布団をめくったら、そこには真っ赤な内蔵を撒き散らしたお姉ちゃんがいた。


「うっ…」


なんで?なにかの夢だよね?


「なんで?なんでみんな死んでるの?誰?殺したのは誰!」

「お前だよ。この3人は全部お前が殺したんだ。」


私が殺ったの?私が?違う違う違うちがうチガウチガウ。


「私じゃない私じゃない私じゃない私じゃない私じゃない私じゃないわたしじゃないわたしじゃないワタシじゃないワタシじゃないワタシジャナイワタシジャナイ、チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ」

「違わないんだ、お前なんだ。現実を見ろ!」


「私が殺った…」


あれ、なんでこんなに涙が出るの?こいつらは…だって…私のこと苦しめてて…でも…家族だった。


「これが殺すってことだ。」

「私が殺した…」


そっか、私って人を殺したんだ。


カイ視点


辛かったろうな。俺も最初はキツかった。だけど今はのんびりしてる間はない。お母さんが、叫んでるわけだし、明日の朝にはバレるだろうな。早く遠くに逃げなきゃいけねぇ。


「おい、行くぞ。」

「うん…」


だろうな。これは無理やり引っ張っていくしかねぇな。めんどくせぇけど。しょーがねぇ。


まぁ、1番傷が深くなるようにわざとセッティングもしたしな。ダメージはでかいよな。でも立ち直れ、立ち直れたら、お前はもう大丈夫だから。


俺は結の手を引いて歩き続けた。

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