赤い雨に濡れた2人
第2章 1話目 新しい街に2人
歩き疲れた。もう無理や。結は相変わらずやしな。
まぁ、立ち直るには何日もいるやろうからな。はぁ、面倒なもん拾ったな。
「結、次どこか休憩できる場所があったらそこで寝るぞ。」
「いや、私じゃないの。違う!私がやったんじゃない!」
ダメや。良くない方向にいきよんな。
「結、それは結が選んだんや。逃げんな。向き合え。大丈夫。俺がそばにおるから。」
「私が殺ったの?私が?わたしっ、わたしが、おとっ…ごホッ、私が殺ったの?私、私が殺した…」
そうやってゆっくりちゃんと現実を見て受け入れなきゃ腐れるな。
ふぅ、ここならあんまり人通りも多くないし、寝たところで通報はされんな。
「結、寝るぞ。」
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
んー、やっぱり急ぎすぎたか。もう少しどんな奴らかと、結との関わりを見なきゃいけんかったかもな。
「結、大丈夫や。ほら、温かいやろ。な。」
「ん、温かい…」
俺のせいでこいつは生きる道を塞がれた。俺が殺せ言うたから、ここまで苦しんだ。俺が連れて来なかったらあの場で壊れてたな。今も壊れかけてるけどな。
「結、寝るぞ」
「う…ん」
精神的にも肉体的にも疲れただろうからすぐ寝るだろう。俺も、もう限界だ。俺は意識を手放した。
目を覚ますと、隣で寝ていたはずの結とのがいなかった。
ちっ、めんどくせぇ。なんで居なくなるんだよ。どこだよ!
いつぐらいにいなくなったのかすらも分からないからどこら辺を探せばいいのかも分からねぇ。
近くの人に聞こうとする。でも、俺のなりを見てみんな逃げていく。クソッ。なんなんだ。そんなみすぼらしいか。
「きゃぁぁぁ」
近くで、女の叫び声が聞こえた。
もしかしてと近寄る。
結がナンパされていた。男に、それで結は叫んでいる。明らかに嫌がっている。
朝っぱらからナンパかよ。まぁ、結が見つかってよかった。
「なぁ、俺の姉ちゃん話してくんない?」
歳的に彼氏じゃ通らねぇから、弟として出ていく。
「なんだよ、クソガキ、邪魔すんな。お前の姉ちゃんは俺たちの方がいいんだってよ?」
「死ぬか?」
ナイフを見せつける。
「脅しか?刺せるようになってから見せろ。」
血の跡が見えないのか、目が悪いらしいな。
「はぁ、目悪いんかなぁ!」
そう言いながら相手の太ももに突き刺す。引き抜いて相手に見せつける。
「ほら刺したよ?血、見える?」
「コイツ!刺しやがった!いてぇ!俺の右脚が!」
死にもしないのに騒ぎやがって早く消えろよ。鬱陶しい。
「やべぇ、狂ってる。ほんとに刺すとか狂ってやがる。」
そう言いながら後ずさる男。もういい、めんどくせぇ、そもそもてめぇが刺せるようになってからって煽ったんだろぉが、こういってもめんどくさいだけ、はよ逃げろよ。
腰を抜かしながら頑張って逃げる様を見届ける。その時だった。
手に握りっぱなしのナイフを結が奪い取った。そして…
逃げる男の背中に突き立てた。引き抜いてまた刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。抜いて刺す。男が死んだとわかっても刺し続けた。
結はもう壊れてた。壊れかけなんかじゃなかった。
壊れてたんだ。
壊してしまった代償として殺人鬼は、女子高生と生きていくことを決めた。
これは、殺人鬼と関わって壊れてしまった女子高生の話。それも殺人鬼視点での話。
後にこの殺人鬼は、『血塗れの包丁』という異名を持つがそれはこれからの話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます