2話目 戸惑う殺人鬼と女子高生

「そんなとこで何してるの?」


誰だよ。俺に話しかけんなよ。


「あ?見てわかんねぇのかよ。寝てんだよ。邪魔すんな。」

「へぇ。家に帰らなくていいの?」


んだよ。めんどくさいな。


「ねぇよ。家なんて。」

「ないの!?帰れないとか帰らないじゃなくて?」


はぁ、ないっていっただろ。2回も言わせるな。


「ねぇよ、なくなった。いや、俺がなくした。」

「ふーん…私は帰らないんだよね。」


だからなんだよ。


「だからぁ…、一緒に寝よ?」


は?なんでだよ。


「ねぇ、俺ね、さっき人殺したんだ。怖いだろ、逃げ出せよ。」

「え、殺人?もしかして最近噂になってる殺人鬼?」


噂になってんのかよ。ちっ、捕まるの時間の問題だな。ここ寝心地良かったのにな。もうそろそろここもダメか。


「へぇ、ならさ、私の事殺してよ。」


は?こいつは、何言ってんだ?なんで殺さなきゃ行けねぇんだ。


「なんでだよ、めんどくせぇな。」

「え!ニュースだと無差別に殺してるって言ってたよ?あれ?違ったっけ?」


無差別って言っても俺が殺したいって思わなきゃ殺さねぇよ。


「お前は殺す気にならない。あと、明日にはここから出ていくから、寝るのは今日だけだな。」

「えぇ〜、ならさ私もついてく!」


邪魔だな。なんなんだこいつは。


「お前には帰れる場所があるんだろ。」

「私には、帰れる家はあっても場所はない。だから飛び出してきた。」


家出か…。何歳だよこいつ。


「お前何歳?」

「私は高一だよ。」


高一つったら、えぇと?何歳だ?小一で6だっけ?6、7、8、9…あぁめんどくせぇ。


「歳で言え。」

「16だよ。」


なんだよ。年上かよ。俺は9つだってのに。


「君は?何歳なの?」

「9」

「9!?9歳なのに家ないの?親は?」


こいつはよく喋るな。ズカズカとプライバシーに入り込んできやがって、まぁ、久しぶりに人と話すからいいんだけど…。


「殺した。」

「殺したんだ、へぇ〜。楽しそうだな。」


なんだこいつ。なら殺せばいいじゃねぇか。


「楽しそうと思うなら殺せよ。」

「無理だよぉ。」


は?なんでだよ。刺して刺して刺せば終わりだろ。


「弱いな。まぁだから家出なんかするんだよな。」

「うるさいな!あ、弱いとか言うならさ、私の親殺してよ。」


だから、めんどくせぇっての。


「殺したいと思えばな。」

「じゃあ、私の親の話聞いてくれる?」


ちっ。だるい。はぁ。


「俺が寝るまでならいいぞ。」


はぁ。てかそもそもなんで俺が殺人鬼って知って逃げねぇんだよ。危機感ゼロかよ。

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