第9話B 3人(?)のクリスマス  語り神崎

「あれ、どうしたのその人」

「いや~酔い過ぎて辛そうだったから......」

今日東京に来た可奈が、びっくりした顔で出迎えた。

「すごい顔真っ赤だね」

「流石にこの状態で家に帰るのは無理だろうと思って」

「そうだね......仕方ないか」

なんとか靴を脱がして、部屋まで連れてベッドまで連れて行った。

「これでよしっと」

「床式の布団買っておいてよかったね」

そのまま国村くんはスヤスヤと寝だしたので、可奈と明日の予定を確認した。

「ごめんな、明日帰るのに」

「いーよいーよ、正月には帰ってくるんでしょ?」

「うん」

「春休み空いてる日が決まったらまた来るし」

国村くんが悪いとは言わないけど、流石にタイミングが悪すぎたなあ。

仕方ないっちゃ仕方ないけど。

「ちゃんと友達の面倒見てあげるのは、武志くんのいいところだと思うよ」

「ははは......」

「ベッド使われてるから一緒に寝るしかないね」

「え!?」

「いやいや驚きすぎでしょ。先にシャワーどうぞ」

「あ、はい......」


お互いシャワーから上がった後、机をどかして布団を敷いた。

「狭くない?」

「仕方ないじゃん......」

「ですよね~」

友だちがいる状況でかなり気まずいけど。

「夏来たときに鍵貰ってやったぜ!と思ったら、斜め上の展開になっちゃったね」

「面目ない......」

「ふふふ、まあ焦らずに」

そう言うと可奈は俺の手を握り

「おやすみ、武志くん」

ひんやりとした可奈の手を握りしめ、俺にとって奇妙なクリスマスイブが終わった。

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